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第27話

 その日、幸いにも瞬は帰って来なかった。  あの後スマホを確認すると、会社で残業があり、夜も遅いので近場のホテルで泊まると連絡が入っていた。  そして、翌朝になると突然荷物をまとめて出ていってしまったのだ。  荷造りしている瞬に理由を聞くと、俺と目が合うやいなや、一瞬表情が曇った様な気がしたのもつかの間、 「通勤に時間かかってやっぱ大変でさ」 と苦笑いしていた。 ーーまさか、 「あー、和夏くん。言いづらいんだけど、昨日シてた時瞬くん帰って来てたよ」 「・・ッ、やっぱり・・・」 「なんかね、扉ちょっとだけ開けてこっち見てたよ。和夏くんは好き好き言って熱中してて気付かなかったみたいだけど」 「お前が言わせたんだろ・・っ」  拳で軽く頭を小突くとごめんごめん、と笑うのだ。  その時にあることに気付き、思わず「あ」と声が漏れ出てしまう。 「ーーーっ、まさか、しつこく好きかどうか聞いてたのは・・」 「うん、瞬くんがいるのが分かってて言わせた。ごめんね?」 「っ、まじでお前ーー」  ふざけんな、と言おうと後ろにいる宮に向かって振り向くと、顔が思ったより近くて言いかけていた言葉に詰まってしまう。  すると、昨晩久々に宮に抱かれた記憶がよみがえってくるのだ。どんどん顔が赤くなっていく俺から宮は目を離さないのが余計に恥ずかしかった。 ーーすると、 「和夏くん」 ーーぎゅっと抱き締められた。まるで壊れ物を扱うかの様に優しかった。 「っな、」 「ーー俺、和夏くんのことが好き。付き合って」 「っ、・・・え、」 ーー思いもよらなかった。まさか、告白されるなんて。 宮も緊張しているのだろうか。抱き締められている体がいつもより熱くなっていた。 「・・・瞬くんに取られたくない一心で、酷いことをしたのはごめん」 「っ、・・本当だよ」 「本当ごめん。でも和夏くんのことを好きなのは本当。和夏くんも、俺のこと嫌いじゃないよね?」 ーー気付かれていたのか。 でも、俺はーー、 「・・悪いけど、俺誰かと付き合ったことなくて、」 「え、まじで?」 「付き合うとか正直よく分からない。けど・・・、 それでもいいのか?」 すると、ぱっと体を離された。恐る恐る宮を見つめる。 「いい!」 肩を捕まれ、目を合わせてくるのだ。 「むしろ本当に俺でいいの?」 「・・え、断っても良かったのか?」 「駄目、もう遅いから。絶対離さない」  再びぎゅうっと抱き締められ、肩に顔をぐりぐりと押し付けられる。  甘えられているのだろうか。宮の髪をわしゃわしゃなでる。すると、 「ーーところでさ、」 宮のいつもより低い声が部屋に響いた。肩に顔を埋められたまま話されると少しくすぐったかったが、それを指摘する雰囲気ではなかった。 「昨日、瞬くんに入れられなかったんだよね?なんでナカ柔らかかったの?」 「っ、それは、」 瞬に弄られたことを正直に言った方がいいのだろうか。・・・絶対怒られるな。 「・・・っ、」 「・・・へえ?恋人に隠し事するんだ?」  じゃあ、と呟くと抱き締めたまま背の下から手を入れられるのだ。  くすぐったくて思わず身じろぎしてしまう。 「っえ、・・な、に、」 「他にどこ触られたのか確認するから。じっとしてて」 「確認・・・って・・」 「・・あー、そうだなあ。触るだけじゃ分かりにくいから、ーー服、全部脱いでくんない?」  耳元で響く声に、なぜか拒絶できなかった。"恋人" という響きがそうさせたのだろうか。 ーーこの後、体の隅々まで瞬の痕跡を調べられたのは言うまでもないだろう。

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