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第30話※【完】
寝てる間、なぜか体がぽかぽかして暖かかった。何かに包まれている様な感覚で、とてもぐっすり眠れた気がした。
カーテンの隙間から入る日差しが眩しくてうっすらと目を開けると、目の前に宮がいて、俺を抱き締めるようにして眠っていたのだ。
昨日汚した跡は綺麗になくなっていたのでおそらく宮があの後片付けてくれたのだろう。
宮の誘いに毎日応えるのは大変だが、正直愛されている実感はある。
時間を確認しようと、棚に置いてあるスマホをたぐり寄せ、画面を付ける。
ーーーすると、瞬から連絡が入っていたのだ。
話があるからバーで会えないかという内容だった。
どうしようかとちらっと宮を見ると、いつから起きていたのか宮と目が合ったのだ。
「・・あ、宮おはよう」
「んー・・・おはよ」
まだ眠いのか、ぎゅうっと抱きついてくると首に顔を埋めるのだ。
「・・なあ、瞬から話あるから会おうって言われてるんだけどーーー」
どうしようかと言う前に
「駄目」
と更に強く抱き締めるのだ。
「だよな。断っておくよ」
「・・うん。それにバーなんて和夏くんナンパされちゃうじゃん」
「いや、ナンパなんて一回もされたことないけど?」
「え、嘘でしょ」
「いや、マジで」
すると、宮は少し考えた後に口を開いたのだ。
「・・・あー、まあ瞬くんに付き合ってる報告くらいなら行ってもいいよ。俺も行くから。牽制もしたいし」
「手を出してくるなんてもうないとは思うけどな」
「・・・和夏くん。そんなんだからつけ込まれるんだよ」
「いや、本当にもう大丈夫だから」
本当かなあ、と呟くと抱き締めている手で体をまさぐられた。後ろから宮の息がかかる。
「っあ、ちょ・・、っと、」
「少しだけだから。和夏くんが何かされても抵抗できるようにする練習」
すると、まさぐる手が胸の突起をかすめる。
「練習って・・・、ーーーっぁ」
「ほら、そんなんじゃすぐヤられちゃうよ?」
両手で乳輪をくるくると円を描く様に撫でられる。
絶妙な刺激がもどかしくて思わず体をよじってしまう。
「ね、それ抵抗してるつもりなの?」
「だ・・って、・・こん、な・・む、・・り・・ッ」
「無理じゃないよ」
撫でる指が小さい突起をかすめるたびに小さく体が跳ねてしまう。
昨日もシたのに宮に体を触られるたびに体が喜んでしまうのだ。
「・・あ、・・・ぅ・・、っ」
「あー、もう。こんなに感じちゃってさ」
乳輪を擦られ、揉まれている内に小さな突起が立ち上がっていた様だった。
それに気付いた宮に乳首をきゅっと摘まれてしまうのだ。
「ーーーッ、ひ・・ッぅ」
宮の腕の中でびくんっと体が跳ねる。
熱持った下腹部はズボンに染みを作っていた。
「え、もしかして胸だけでイっーーー」
恥ずかしくなり、後ろにいる宮の腹に軽くひじを入れる。
宮の腕から逃れ、布団をバサっと被り潤んでいる目を隠すのだ。
その間、宮はひたすら謝りながら布団をはがそうとしてきた。俺もひたすら布団を取られないようにする攻防が長い間続いた。
***
以前はよく瞬と2人で通っていたゲイバー。週末だからか店内はそれなりに賑わっていた。
「・・おー、久しぶり。和夏」
「そこまで久々でもないけどな」
瞬と会うのは触られた日以来だ。
時間が経ったおかげか、特にお互い気まずくはなかった。
「あれ、あいつはまだ来てないのか?」
「ああ、宮ももう来る。少し遅れるって」
「よく和夏を一人でここに来させたな」
「いや、少し遅れるって連絡だけきたから先に店に入ってるっては返信したけど」
「その返事待たずに勝手に先に来たわけ?後で怒られても知らねーよ」
くすくすと笑う瞬は、触られる前と全く変わっていなかった。むしろ変わったのは宮と付き合った俺の方か。
他愛もない話をしながら瞬の隣のカウンター席に腰掛ける。
「お、久々に来たぞ!美男美女カップル!」
「相変わらずお似合いだよな」
「あの子美人だよな。声かけに行きてえ」
「やめとけ。どうせ隣のイケメンと付き合ってるんだから振られるだろ。俺だって声かけてえよ」
・・・なんだか後ろが騒がしいが何かあったんだろうか。
ちらっと後ろを見ると、テーブル席に座ろうとしている宮が目に入った。遅れると言っていたのに俺とほとんど同時に着いたのはもしかして走って来たからか?息が上がっている様に見える。
俺達のところに来ないのは元々2人で会う約束をしていた俺と瞬の話を邪魔しない為だろう。
・・それにしても、なぜ機嫌が悪そうなんだ。
「和夏?」
「あー、悪い。何でもない」
瞬に向き直り、話に戻る。
瞬が話しづらくなるかもしれないから、とりあえず宮が来たことは黙っておこう。
「で?和夏も話あるんだろ?」
「あー・・・、実は宮と付き合うことになったんだよな」
「知ってた」
「っえ」
食い気味に言われたことに驚いてバッと瞬を見る。
「だってお前ら玄関で好き好きいいながらヤってたじゃん」
その時のことを思い出し、かっと赤くなった顔を両手で抑える。
その時はまだ付き合っていなかったが、あの場に瞬もいたことを思うと、余計に恥ずかしくなるのだ。
「いや、あれは言わされて・・」
「でも実際付き合ってんだろ?」
「・・・まあ、告られたのはあの後だからな」
そうなのか、と呟くと少し何か考えている様だった。
ーーーすると、テーブルに置いていた俺の手をぎゅっと握ってくるのだ。
ぎょっとする俺を差し置いて瞬は口を開いた。
「俺、和夏に無理矢理して悪かったと思ってるんだ。だから、今からでも遅くないならあいつじゃなくて俺とーーー」
真剣な顔でこちらを見たと思えば、握った手を引き寄せられた。瞬との顔が近い。
ーーーすると、
「ーーーあのさ、俺の和夏くんに何してんの」
宮はいつの間にか俺と瞬の背後に来ていて、俺の手を握る瞬の腕を掴むのだ。
「っ、みや」
「はー・・・、もう邪魔が入ったか。お前がいない今なら和夏のこと落とせると思ったのにな」
「言っとくけど和夏くん俺のこと大好きだから。諦めて」
「へーへー。仕方ねーな。」
瞬のことを睨みながらも宮は俺の隣に腰掛けた。
「・・おい、和夏。今日は飲むぞ。俺のこと振ったんだから付き合えよ」
「え、」
「俺も飲みたい気分だから介抱よろしくね、和夏くん」
…。
……。
………。
とてつもなく頭が痛い。そして体が重い。いつの間にかテーブルに突っ伏して眠ってしまっていた様だ。目をうっすら開けると、店内の照明が眩しくて思わず目を細めた。
そんな中、宮と瞬の話し声が聞こえた。
「ーー・・本当ムカつく。何美男美女カップルって」
「あー、あれは知らない間にそういうことになってた。まあその方が和夏に変な虫付かないから都合良いしな」
「とか言って、本当は瞬くんも満更でもなかったんでしょ」
「そりゃあな」
「あー、・・本当腹立つ」
後ろで騒いでた奴らが言ってたのはそういうことだったのか。
・・それにしても、瞬には悪いが瞬とカップルなんて全く想像が付かないな。
「・・で、結局は和夏のどこが好きなわけ?」
「んー、やっぱエロいところかな」
「分かる。汗かいてるだけで何か色っぽいんだよアイツ」
「そうそう。俺とヤってからますますエロくなって困ってんだよね」
「いや、悔しいけど本当にそれ。さっきから目のやり場に困ってんだよ」
「ちょっと、あんま変な目で見ないでよ」
何の話をしているんだろうか、こいつらは。せめて俺のいないところでそういう話をして欲しい。
「いやー、でももう和夏くん俺のだから。ごめんね?」
「俺、ずっと和夏のこと狙ってたんだけど。それを横からかっさわれて本当腹立つ」
「おかげで俺が和夏くんと付き合えたけどさ、何でもっと早く告らなかったわけ?」
「・・・できる訳ないだろ。あいつは俺のことただの友達ってしか思ってなかったことくらい、見てたら分かんだよ」
・・・やばい。起きるタイミング見失った。
「まー、和夏の気持ちが最優先だからな。これからも友人ポジでいさせてもらうわ」
「手ぇ出さないでよね」
「人のモンに手出す趣味ねーよ」
「さっき手出そうとしてたじゃん」
「あれはワンチャンあるかと思ったんだよ。・・・ただ、さっきからお前ら見てると和夏はやっぱりお前が好きなんだなって思ったら諦めついたよ。・・悔しいけど、和夏のこと頼む」
「・・言われなくても」
すると、宮は俺の髪を優しく撫でるのだ。
でかいくせにこの優しい手付きは反則だと思ってしまう。
「ところでこんなこと聞くのもアレだけどヤりまくってるわけ?」
「突然だね、別にいーけど。そりゃもう毎晩ヤりまくり。俺が誘ってんだけどね」
「うわ、まじで羨ましい」
「この間はね、睡眠姦した」
ーーーすると、瞬は飲んでいた酒を勢い良く吹き出したのだ。
「っげ、ほ・・っ、げほっ、・・・・はー・・・・・、何て?」
「だから、睡眠姦。寝込み襲った。何そんなにむせてんの?」
「・・・あー、俺も前和夏に同じ様なことしたなと思って。少し思い出した。ちなみにお前らが付き合う前だから。まだセーフだからな」
「・・・は?その話詳しく」
「いや、まじで怒んなよ?あの時は和夏が酒飲んで酔ってて、俺の布団にーー・・・」
・・・やばい。
この間宮に瞬とどこまでヤったか調べられたことがあったが、鎖骨に若干の跡が残っていただけだったので、首の回りに少しイタズラされただけってことでその場は収まったのだ。
尻をいじられたことを知られたらどうなるかーーー・・・
「ーーーね、和夏くん。起きてるよね」
いつからこちらを向いていたのか、宮の声が上から降ってきたのだ。ちゃんと目は閉じているはず。なんでバレてーー
「さっきからさ、体ぴくぴく動いてるよ?よくそれで誤魔化せると思ったよね?」
首筋を撫でられると、思わず「ひぅっ」と声が出てしまうのだ。
声が出たと同時にバッと体を起こすと、こちらを見ている瞬と目が合って、何とも言えない雰囲気になってしまった。
そんな俺達の様子を見た宮は
「立って」
と俺の腕を掴むのだ。
「お金ここ置いてくから」
「おーい。優しくしてやれよ?」
「・・善処はする」
テーブルに2人分の金を置くと、宮は俺の手を引いたまま店を出たのだ。
チラッと瞬を見ると、困った様にこちらに手を振っていた。
ドサッ
引かれていた手を離されてソファに押され、そのまま仰向けに倒れ込んでしまう。
すると、宮が覆いかぶさってくるのだ。
「・・・はー、本当ムカつく」
「っ、みや、ーーーっんん」
言いかけていた唇に荒々しく口付けると、角度を変えられ、熱持った舌を強引に絡ませてくるのだ。
歯列をなぞられ、顎上をぐりぐり舌先で刺激される。
「ーーっんん、・・・っん、ふ・・ッ」
「ん、」
弱いところを弄られるたびに小さく体が跳ねてしまう。
すると、宮は唇をを離すのだ。
「・・・ね、和夏くんてさやっぱ瞬くんのこと好きなの?」
「っそ、んな・・・、わけ・・ッ」
荒々しい口付けから解放され、呼吸を整える。
「この間俺が瞬くんとのこと問い詰めた時だって、和夏くん詳しく言ってくれないし。瞬くんのこと庇ったわけ?」
「・・言うと怒ると思ったから」
「さっきだってさ、帰り際瞬くんと目合わせてたじゃん」
「別にそれは・・・」
「・・・和夏くんって美人だし鈍感だし流されやすいし、俺不安なんだよ。・・分かってよ」
・・・声が震えていた。
宮は嫉妬するほど俺を思ってくれている。
それなのに俺は宮の気持ちを考えずに行動してしまって傷付けてしまった。
どうすれば、宮が一番だと分かってもらえるだろうか。俺にできることとすればーーー・・・
「・・・宮、一旦ソファに座ってから話しないか?」
「・・・うん」
宮が座り直したのを見計らって、目の前でシャツのボタンを外して脱ぎ捨てる。そしてズボンと下着を一緒にずるっと脱ぐと、宮の上にまたがった。
「っえ、和夏くん・・?」
宮のズボンとベルトを緩め、チャックを下ろす。そして宮のつんっと上を向いている性器に割れ目をあてがうのだ。
「っえ、和夏くん、何して・・」
「いいから。じっとしてて。ーーーんんっ」
つぷっと亀頭の先が中に入ってくる。慣らしていないので少し苦しい。
「っん、・・ぅう」
「っ、無茶だよ、和夏くん。一旦抜いてーーー」
こちらを見上げて言う宮に、ちゅっと口付けた。
いつも宮がやっている様に、唇の隙間に舌を滑らせ、宮の舌をぺろっと舐める。
俺の舌が短いのか、絡ませることができないのがもどかしい。
何度も懸命に舌を伸ばすが、かすることしか出来なかった。
「・・うまくできない?・・こうやるんだよ」
「え、・・・ーーんんっ」
後頭部を宮の手のひらで押さえ付けられると、宮の舌が簡単に俺の舌を捉えるのだ。
くちゅくちゅと鳴る音が脳内まで響いて、それがびくびくと下腹部にまで伝わった。
ちゅ、ちゅ、と角度を何度も変えられると、さすがに頭がぼうっとしてくる。
そして、亀頭までしか入っていなかった性器が、いつの間にか奥まで入っていた。
「ーーーぁ・・、ッあ、ぁ」
「っ、・・ここもいい加減、俺の形覚えてきたよね」
「・・っ、そ・・、りゃあ、みやとしか、したことないから・・っ」
「っ、また、そういうこと言う」
「だっ・・、て、俺のせいで、みや不安なんだろ?」
宮の肩に手を置き、奥まで入った性器をぐちゅぐちゅと抜き差しするように腰を動かす。
どうしたら宮に分かってもらえるのか。体で応える用にぎこちないながらもゆさゆさと腰を揺らすのだ。
「わ・・・、えろ」
「ほん、と・・、に・・ッ、みや、・・・んっ、だけ・・、だから・・・ぁッ」
「っ、じゃあそれが実感できるまで、させてもらうよ?」
ーー次の瞬間、尻を持ち上げられたと思えば、奥にまでずぷっと突き上げられるのだ。
火花がパチパチ弾けるように、目の前がチカチカした。性器の先からとろっと白濁の液が漏れ出る。
そんな俺を差し置いて、尻を鷲掴み性器に打ち付けながら、宮自信も下から突き上げてくるのだ。
「っぁ、・・も・・ッ、イっ・・・、ぁ」
「和夏くんが俺だけって実感するまで、付き合って。何回でもイっていいからさ」
ぱちゅんと打ち付けられるたびに達して、その度白濁の液体が弾けると、宮は興奮する様に更に腰を打ち付けるのだ。
何度達したのか分からないが、全く嫌ではなかった。それから俺の意識が飛ぶほど、宮が満足するまで体を重ねた。
薄暗い部屋の中でうっすらと目を開ける。
あれから俺は気を失ってしまったんだろう。今は夜中だろうか。
頭を暖かい手で撫でられているのが心地よく、再び目を閉じてしまいそうになる。
「あ、起きた?」
「・・み、や・・?」
再び薄れゆく意識の中で、宮の声が聞こえた。
眠いながらも宮の方を見ると、優しくこちらに微笑む宮の姿があった。
裸の俺の肩には宮が脱いだであろう上着がかけられていて、膝の上にまたがったまま眠ってしまった様だ。
「ごめんね、無理させて。体大丈夫?」
「ああ・・。大丈夫」
眠い目を擦り、宮にぎゅっと抱き着いた。
「和夏くん?」
「ん・・・、気持ちいいからもう少しこのままいさせて・・」
宮の肩にぐりぐりと顔を押し付けると、宮はぴくっと反応するのだ。
「・・なあ、お前は俺のどこを好きになった?」
「え、いきなりだね。・・・まあ一目惚れっていうか、2回目に居酒屋で会った時に改めて美人さんだなって思ったら持ち帰りたくなったんだよね」
「・・・ふうん」
少し気恥ずかしくて、首に顔を埋めた。
「そういう和夏くんは?」
「・・・体でかいのに優しい。それと、・・・お前とするのが、気持ちいいから・・・ーーーっ、」
すると、尻に当たっていた性器が再び熱を持ち始めるのだ。
当然、先程の名残りがあるので、そのままぐぷっと割れ目に先が簡単に埋まってしまう。
「ーーーッあ、ちょっ、と・・、さすがにも、むり・・・ッ」
「・・和夏くんが可愛いから悪い。もう一回だけ」
「ーーーっあッッ」
結局、そのまま朝までする羽目になった。
そして昼に目が覚めると、またしたいと再びねだられてしまう。こうなったらもうさすがに仕方ないなと受け入れてしまう俺も大概だろう。
宮に奪われたのは処女・・・、と初めての感情。
これからも宮に奪われ続けることだろう。
それもまあ、悪くないと思ってしまうのだ。
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