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レッツ! 妊活! 2

 改めて宗佑から鞄を受け取ると、彼はしみじみと「しょうが焼きか……」と呟いた。生姜と玉ねぎをすりおろし蜂蜜と一緒にタレで豚肉を漬け込んだシンプルな庶民的料理だが、もしや苦手なのか? 「しょうが焼き、苦手でした?」 「いや、好物だよ」  上目になって見上げると、宗佑は尻尾を振った。表情が微妙だったから心配になったが、杞憂だったようだ。やっぱりメインが肉なら間違いない。  俺は笑みを浮かべつつ、グッと拳を握ってみせた。 「俺の得意料理なんです。すぐに焼きますね!」  よっしゃ、やるぞー。と、意気込んだのも束の間。俺は力強い腕によって引き止められた。 「圭介」 「はい……んんぅ!?」  いきなり顎を持ち上げられたかと思えば、アンバーの瞳がグンと近くなった。唇が宗佑のそれに触れて、すぐに長い舌を挿し込まれる。 「んっ……んん、ふぁ……」  レロレロと口の中を舐められ、舌の上まで丹念に味わうように絡められた後、透明な糸を引きながらそれは離れていった。  クタッと腰が抜けて倒れそうになる俺を、すかさず宗佑は抱き上げる。そしてスタスタと、ある一室へ向かい出した。そこはキッチンでも、ダイニングでも、ましてやリビングでもない。おいおい、まさか……いや、今夜も!?  俺は向かう先がわかると同時に、慌てて宗佑に制止をかけた。 「ちょ、ちょっ……ちょっと待った! 宗佑っ」 「しょうが焼きの前に、君を食べたい」 「食べたいって、昨日もしたばかりで……うわあっ!?」 「圭介」  何が引き金だったのかわからないまま、宗佑は寝室へ俺を連れ込むとそのままベッドへと押し倒した。  そして俺の上に跨がると、舌なめずりをしながら俺の穿いているボトムを下着ごと素早く脱がし、そのまま大きく脚を割り開かせた。  え……え? 嘘だろ? 嘘だろ嘘だろ嘘だろ!? 風呂どころかシャワーも浴びてないってのに、本当にヤるのか!? 「ちょい待った、宗佑っ! せめて口はっ……ひゃんっ!?」  こうなってしまえばもう、痛いと泣き叫ぶぐらいのリアクションを取らねば治まらない。  宗佑は赤ん坊のオムツ替えと同じような格好で俺の脚を開かせると、外気に晒された陰茎をパクリと咥えて舐めしゃぶった。 「やあっ……あっ……んっ、そう、すけぇ……」  ジュルジュルと音を立てて俺の陰茎を啜る宗佑は聞く耳を全く持たず、俺に射精を促した。スーツが汚れるから、せめて上着だけでも脱いで欲しいという願いはあっけなく散ってしまった。  そうして一層強く吸われるのと同時に、俺は宗佑の口の中で果てていた。決して俺が早いわけじゃない。宗佑が上手過ぎるのだ。 「はあっ……はあ……宗佑ぇ……」  ベッドの上で喘ぐ俺を見下ろしながら、宗佑は湿る唇を指で拭った。その様が俺の目には妖艶に映り、下の孔から何かがジュワッと滲み出た。 「いい子だね、圭介。でもこのままじゃ、きっとキツいだろうから……」 「はあ、はあ……ん、宗佑?」  宗佑は俺の臀部を自分の視界に入りやすいよう高く上げると、そのまま孔の中に舌を挿し込み舐め出した。  何処まで入るのかしれない長い舌によって濡れるそこを責められながら、俺はいやいやと首を振って抵抗する。身体はすっかり感じているというのに。口だけの抵抗は何の意味もなさないというのに。  それを宗佑もわかってか、射精したばかりの陰茎を手で扱きながら、舌で孔の中を丹念に解していく。 「やあっ……そこ、汚いっ……汚い、からあっ……やああっ」 「こんなに感じている癖に……れろ……圭介は、ん……素直じゃないね」 「ちがっ……ああんっ……出る……また出ちゃうよぉ……!」 「クス……なら、少しだけ我慢しようね」  宗佑は扱いていた手に力を入れ、射精をさせないよう親指で先端を塞いだ。そして器用にも、空いた方の手でベルトとボトムのジッパーを下ろすと、勃起する自身を外気へと晒す。それを目にして、俺の孔からはさらに愛液が溢れ出た。  宗佑は俺の身体を俯せにすると、腰を突き出させるように高く持ち上げ、すっかり濡れそぼる孔へ自身の亀頭を押し当てた。ブルリと震える俺の腰を一撫ですると、宗佑はそれを合図として一気に貫いた。 「うああっ!」  ギュッとシーツを握り締めながら、俺は悲鳴を上げた。ぐっしょりと濡れているとはいえ、通常よりも大きいサイズのそれで貫かれるのはΩといえど苦しさを感じる。なのに、俺の身体はそれだけで白濁の体液を撒き散らした。俺の上体はぐったりと、ベッドに沈み込んだ。 「はあっ……はあっ……あ、うぁ……」  全身が痙攣して止まらない。痛く苦しいはずの宗佑の行為も、俺の身体はすっかり快楽として感じるようになっていた。  Ωだからそうなりやすい、というのはあるかもしれない。でも、はじめから淫乱だったわけではない。いや、淫乱だったと思いたくない。  俺はすっかり宗佑によって仕込まれてしまったのだ。決して俺が発情して止まらなかったからじゃない。どころか、あれ以降の発情期はまだ迎えていない。  それでも今みたいに宗佑から求められれば、俺の意思で止められるはずもなく。なんだかんだ、俺達は二、三日に一度はセックスをするような関係になっていた。  子供ができにくい身体とはいえ、そこはやはりαの肉食獣。宗佑の性欲はこれまで恵が相手にしてきた人達よりも遥かに強かった。 「動くよ、圭介」 「ま……待って、まだ……あぁんっ」  息が整わないまま、宗佑は腰を動かし律動を開始した。すでに二回もイっているのに、中を掻き回されればすぐに感じてしまうこの体たらく。俺の意思とは関係なく、腰は自然と動いていた。  これがもしも、αによって無理やり組み敷かれるような関係なら、さすがに荷物を纏めて出ていったかもしれない。しかし、やや強引ではあるものの、宗佑は決して暴力を振るうわけでも、言葉や態度で支配するわけでもない。俺の意思や尊厳を尊重しつつも、欲望の赴くままに俺を抱くのだ。  つまり。 「圭介……クス。感じているの?」 「んっ……んんぅ……」 「可愛いな」  俺のいいタイミングを見図りながら、確実に感じるよう事を運んでいく。独りよがりのセックスではなく、俺を主としたセックスをするのだ。  要はエッチが上手いということ。狼だけに。

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