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排除

いらない物は捨てなきゃ。 だってそうしないと綺麗にならないだろ? 「あ……ああ……あ……あ」 相馬は目の前の光景に腰が抜けて床にへなっと座り込む。  そこにはたくさんの写真が壁一面に貼られていて その写真のほとんどは彼の今まで知り合った人間や友人 別れた恋人まで揃っている。  そしてその写真には マーカーペンで乱暴にバツマークが書かれていた。 「お帰り、相馬さん」 今日は珍しく帰るのが早いんだね といつも通りの笑顔で相馬を見る。  ……だがその笑顔には一切感情が入っておらず その作られた笑顔に恐怖を感じた。 「り……陸……それは?」 恐る恐る写真のことを聞いてみると 彼はニコッとなんとも爽やかに笑い 机に置かれた果物ナイフを握る。 「ん?……あぁ、これは排除する奴らの写真だよ」 排除?何を言っているのだろうか、コイツは?  陸の言うことが理解出来ずに ただただ目の前に広がるおびただしい数の写真を眺める。  「あのね、世の中にはいらない物が沢山あるだろ?だからそれを排除しようと思って。だって相馬さんに友人なんかいらないし、相手の頭の中に彼の記憶が一秒でも残ってるってだけで苛つくんだ。相馬さんはオレのなのに。相馬さんの周りには人が多すぎるんだ。伊野尾や土方や夏樹や龍太郎やもう色んな人がいすぎ!相馬さんがね。そんな連中と楽しそうに話したり、目線を向けたりするだけで凄く心臓が破裂するぐらい苦しくなるんだ。許せないんだよ。彼の存在を知る全ての人間が!相馬さんの存在はオレだけが知っていればいいのに、それが何よりの幸せなのに。それをアイツらは汚すんだ!あの忌々しい連中が近づく度に、相馬さんがどんどんどんどん汚れていく……!可哀想な相馬さん……無垢で美しい相馬さんは汚れなくていいのに!だから、オレが守るんだよ。美しい相馬さんをあの汚らわしいクズ共から解放する。だからね、考えたんだ。一人一人殺していけばいいんだって……!アハッ!明日になってコンビニのシフト行けなくなるね!だって伊野尾も死んでるし相馬さんに関わった全ての奴らは全員この世から抹消したんだから!……排除するんだ、彼の頭を汚す記憶を。排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハアハハハハハ!!」 握られていた果物ナイフを写真という写真に切り付けていく。  写真は無惨にもボロボロになり 人が写っていたであろう原型はとどめてはいなかった。  「……お……まえ……頭…………おかしい……」 ガタガタと全身が震える。  お前は誰だ?  杉本……陸なのか? お前は、ダレダ?  (ソイツはまるで悪魔と交渉してきたかのように、人を殺すことに一切の罪の意識を感じない。言わば…………嫉妬と妄想に狂った化け物)

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