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第1話 訪問看護師

『栗山涼一(くりやまりょういち)18歳、大学休学中。OD、リストカットの常習。三回救急搬送される』  谷川勇介(たにがわゆうすけ)はファイリングされた資料に視線を落としていた。  訪問看護師として涼一の担当を依頼されたのは一か月前、彼の父親の秘書という男からだった。 「お金はいくらでも出しますので、涼一様を普通にしてください」  酷い言いようだなと勇介は思った。はなから異常者扱いしてる。それに父親も母親もいるのに秘書を使って依頼してくることからも涼一が充分に愛情を注いでもらっているとは思い難い。 「はあ……」  勇介は重い溜息をついた。

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