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◇ ◇ ◇
予行練習をしなかった夜鳥は、知識として男同士の行為を知っていたが慣れてはいないようだった。
朝五の誘いでキスから始まり、お互いの肌に触れて愛撫しながら官能を炙っていく。
柔らかな雄にローションをまぶして向かい合い、こすりつけ合って高める。男同士でしか楽しめない遊びだ。
そして節くれだった相手の勃起を握り、手淫し合う。クチュクチュと粘着質な水音が響き、言葉がおろそかになっていく。
「ん……気持ちいい? 朝五」
「う、っ……ん、イイ……あー……でも良すぎたら、出る……」
「はっ……」
このまま達してしまうと思うと、ゾクン……と腰が戦慄いた。抱かれるばかりではない体だが、夜鳥には開きたいと疼くようだ。
一度達したあとでは、再度高まるまで我慢できそうにない。平らな胸を舐めていた夜鳥の頭を呼んで体を離す。
潤滑油を継ぎ足してから、朝五はおもむろに足を開いた。
「ちょっと慣らすから、待ってろな」
唇の開きが薄い声をかけ、自ら割れ目の奥へツプンと指を埋め込む。
バスルームで中を洗浄した時にある程度解しておいた朝五の窄まりは、ローションを加えて改めて拡げていくと慣れたように緩み始めた。
過去の恋人に何度も使われている肉穴は、抱かれ方を心得ている。
初心でなくてよかった。甘えたな中が進んでトロリと解れるほうが、早く済ませたい朝五には都合がいい。
自分で拡げている姿をじっと見られていると恥辱を感じる。
プレイでもないのにこんなにまじまじと真剣に見るような恋人はいなかった。
「はっ……ぅ……」
手のひらで会陰と陰嚢を指圧しながら、指のフックを真上に引っ掛けるようにグッグッと拡張する。
内部から振動が前立腺に響く。
グチャ、グチャ、とローションと腸液が混ざり卑猥な音が聞こえる。
「ん……ぅん……うん……あー……」
自然と甘えた吐息が漏れた。
独り言に偽装したところで、艶めいた甘ったるい色はごまかせない。エロいことをしているのだから仕方がない。
指で引っ掻いて、かき混ぜて。
(あー……気持ち。前触りながらしたらヤバいくらいくるけど、すぐイくから我慢……)
そそり立つ屹立からプクリと蜜が溢れ、竿を伝っていく。
どこか溺れていると、ふと夜鳥が手を伸ばし、指を含みながら赤い媚肉を覗かせる結合部をツツとなぞった。
「うひっ……!」
ビク、と朝五の体がしなり丸くなる。敏感な粘膜を他人に触られ、慌ててやや内股になりガードする朝五。
「きゅ、急にそこ触んねーのっ」
「俺も手伝いたい」
「や、もう拡がったからいい、っひ……っ」
「でも、こんなに狭いよ。だってたぶん俺、抱き方ねちっこいし……朝五は体も大きいし鍛えてるから頑丈だと思うけど、ムキムキってわけじゃないし……」
「ん、っ見せ筋へのディス、っん」
「ごめん。言い訳。ムキムキでも心配。ほんとに大丈夫なのかな……」
不必要だと首を振っても夜鳥はお構いなしに身を寄せ、朝五の足を抱え、筋肉質に引き締まった腰を自分の膝にテンと乗せた。
これでは熟れた恥部が剥き出しだ。
指を食む淫口が丸見えで、朝五は羞恥から汗ばんだ肌を震えあがらせる。
無意識に足をもがかせるが、夜鳥が押さえているので大きくは動けない。逃げる気はないけれど羞恥心は人並みにあるのだ。
「んっ……」
咥え込んだ指を抜かれ、晒された無防備な箇所と指の間にツツ……と糸が引く。
尻たぶを大きな手で掴まれながら左右に開かれ、淡い産毛まで湿った奥処がクパ、と口を開けて物欲しそうに呼吸した。
夜鳥の視線がそこを嬲る。
「自分のでも見たことないけど、朝五のここは小さいな……売り物の映像は過剰だって言うし、俺のなんてとても入りそうにない」
「っ、もういいからゴム着けて、挿れろってっ。視姦は今度してあげますっ」
朝五は必死にせっついた。
夜鳥はこれを全部性癖の一環ではなく真剣に朝五の体を慮って行っているので、困りものだ。死ぬほど恥ずかしい。余計に身が焦がれるじゃないか。
納得がいかない様子の夜鳥がベッドヘッドに用意されていた避妊具を取り、朝五の言う通りに装着した。
後ろから抱けばいいものを、開脚した足を掴む夜鳥は、正面からヌルリと入口に幹を擦りつける。
「ゆっくり、ね」
「ん……はっ……」
いよいよ抱かれる。
空腹の奥に咥え込めると思うと、期待から胸が高鳴り肉欲の熱に炙られた。
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