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第188話
「周、手伝うよ」
タスキをかけて準備を終えた雪也が周の隣に立つ。周は無表情で頷くが、纏う雰囲気はどことなく嬉しそうで、自分も手伝おうと風呂敷からタスキを取り出そうとしていた蒼は反射的に動きを止めた。
(う~ん、僕はお邪魔かな?)
そんなことを考えながら弥生たちに視線を向ければ、弥生と優は苦笑し、自らが持ってきた風呂敷から林檎と小刀を取り出して蒼を手招いた。
「我々はここで皮むきでもしようか。まだ夕餉まで時間があるが、外で動き回っている奴らは腹が減ったと言うだろうからな。それなりに持ってきたから、手伝ってくれ」
汗だくになりながら腹減ったーッと叫ぶ三人の姿が容易に想像できて、蒼はクスクスと笑いながら頷く。売っているのは野菜だが、蒼もそれなりに料理はする。果物の皮むきくらいお手の物だ。
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