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第407話
「なぁ、雪也。今日はいつもの客に薬とどけに行くんだろ? 新しい人がいないなら、俺が行こうか? 薬渡して銭を受け取るくらい、俺にもできるから」
サクラを抱っこしながら、心配そうに眉を下げて由弦が雪也を覗き込む。その事に雪也は再び罪悪感を覚えて苦笑した。
「周も由弦も心配しすぎだよ。大丈夫、本当に少し暑いだけだから。今日もサクラと一緒に薬草の方、お願いするね」
今から更に心配をかけることになるとわかっている雪也は申し訳なさで押しつぶされそうになるが、これ以上の良策を思いつかない以上、止めるという選択はない。
微笑み、サクラを撫でながら、チラと気づかれないように浩二郎へ視線を向ける。周と由弦があからさまに心配をしているので雪也が本調子ではないとわかっているのだろうが、彼はいつも通り静かに瞑想し、微動だにしない。それを確認して、雪也は重怠い身体を叱咤して立ち上がった。
「じゃぁ、届けに行ってくるから後はよろしくね。すぐに戻ってくるから」
心配だと訴える二人の視線に大丈夫だと微笑み、雪也はいつも通り籠を持って庵を出る。歩き出せばすぐに息が上がったが、迷惑をかけないためにも、薬をすべて届け終えるまで倒れるわけにはいかない。
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