「わかっているさ。なんてったって、君は他の誰よりも僕に似ているからね」 　その瞳に隠された獰猛さも、真っ直ぐに手を伸ばさずにいられない様も、相手が手を伸ばす先はいつだって自分でありたいという狭量さも。 　弥生とも、紫呉とも違う。雪也や蒼、湊でもない。ただ想う相手が違うというだけで、周の狂気とも呼べる心は優にそっくりだ。さほど深く関わった記憶もないから、これは生来のもので、周が優に引きずられたわけではないと思うが。 「そんな君に、似ている僕からひとつ助言をしようか」 　雪也は目に見えて迷子であるが、実は周もまた迷子であることを優は知っている。だが、この迷子は雪也には導くことができない。道を知らぬ者が行くべき先を指し示すことなど不可能であるのだから。 「これから先、たくさんのことで雪也は悩み、傷つくと思う。こちらからすれば〝そんなことで？〟と思うことにすら頭を悩ませて、長い時間を苦しみに費やすだろう。それを面倒だと思うのなら、受け止める覚悟を持てないのなら、近くにいるなとは言わないけれど、君が今抱えている感情は早めに消し去った方が良い。どうせ長く続きはしないし、自分の考えを押し付けて傷つけるだけになるからね。百害あって一利なしさ」 　それはただ周よりも長く生きているが故の知識というよりは、いやに実感のこもった言葉だった。無言で視線を向ける周に、優はクスリと笑う。