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第554話

(わかりやすいものはフェイク。でも、どれだけ秘密裏にしようとしても人の口に戸は立てられぬとも言う。今回はどっちだろう)  そしてそれを企んでいるのが衛府か、よく耳にする尊皇の者達かによっても意味は変わってくるだろう。 (こんな時に弥生さんがいないなんて……)  あるいは、弥生がいないからこそだろうか。  考えても考えても、尊皇の者達はもちろん、衛府のことさえよくわかっていない湊に答えなど出るはずもない。ならば、と湊は手早く残りのジャガイモを綺麗にして籠を抱えると、走りだしそうになる己を抑え込んでいつも通りの歩調で店に戻った。 「蒼、ジャガイモは終わったよ」  いつもはそんなこと言わずに次へと取り掛かる湊であるが、今回はあえて声をかける。そんな湊に帳簿を睨みつけていた蒼が顔を上げた。何でもない風を装って近づいてくる湊が少し、蒼に顔を近づける。 「なんか、あちこちで火薬とか米が盗まれてるらしいんだけど、何かあるのかな」

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