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第556話 ※
※ここからしばらく、お食事中に読まれるには憚られる表現がございます(大の方)。話数の横に「※」をつけさせていただきますので、ご注意くださいませ。
常は決められた日時にズレることなく父の薬を取りに来るだけの兵衛が、珍しく予定していた日でもないというのに庵へやって来たのは昼前のことだった。
「急なことで申し訳ないのですが、雪也さんにお助けいただきたいことが」
相変わらずあまり表情を変えず淡々と話す兵衛であるが、その額にはうっすらと汗が浮かんでおり、顔に出ないだけで随分と急いでやってきたのだろうことがうかがえ、雪也は薬包を作る手を止めて近づいた。
「随分お急ぎのようですが、どうしました?」
兵衛自身には何もないように見えるが、もしや彼の父親に何かあったのだろうかと首を傾げる雪也に、兵衛は荒い息を落ち着けるように大きく深呼吸した。
「失礼しました。実は父と友人が馴染みの店で食事をしていたのですが、その友人が……その……、口に出すと名誉に関わるような、大変なことになりまして……」
友人の名誉を重んじて口ごもるような事とは何だろう? 兵衛の説明に雪也は勿論、話が聞こえていた周と由弦も深く首を傾げた。
「えっと……、よくわからないのですが、その……、お食事をされていて何かあったということは、痛んだものを食べたり、とかでしょうか?」
場合によっては時間との戦いになるので、できればある程度の予想をたてて薬を持って行きたい雪也は予想を口にするが、兵衛は是とも否とも言わず僅かに首を傾げた。
「どう、なんでしょうか……」
そんなことを聞かれても、と雪也達は同時に遠い目をしたが、兵衛が珍しく眉間に皺を寄せながら雪也に顔を近づけた。どうやらよほど他者の耳に入れたくないことらしいと察して、雪也からも耳を近づける。
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