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第569話
〝近臣の屋敷をすべて火の海にすれば混乱は避けられまい〟
〝そうなれば衛府は手薄になるはずだ〟
〝あの方たちが味方になったおかげで大砲も使えるようになった。それを使えば……〟
あまりの内容に雪也が目を見開いた時、襖の向こうで立ち上がり歩いてくる衣擦れの音が聞こえて雪也は慌てて階段の方まで行き身を隠した。襖が開く音を聞きながら、雪也は平静を装って兵衛の所へ向かう。もう少し聞きたかったが、これ以上は危険だ。雪也がヘタな事をすれば雪也だけではなく、周たちも弥生たちも危険に晒される。それだけは避けなければ。
「お待たせしてすみません」
少し遠回りではあったが、厠を経由してから雪也は慌てた風を装って兵衛に近づく。そんな雪也にひとつ頷いて、兵衛は「いきましょう」と促した。
早く、側にいるであろう紫呉の部下に会わなければ。頭の中であれこれと考えながら、雪也は蒼の店へと急いだ。
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