47 / 368
十六日『似合う色の日』
鏡の前で信周が頭を悩ませている。
「……これはちょっと暗いかな。やっぱ、別のにしようかな」
ネクタイの色がなかなか決まらない。今日はクライアントとの大切な打ち合わせ。ネクタイ選びもいつもよりも慎重になる。
「さっきのすっごくよかったよ。ノブくん紫色似合うよねぇ」
晴日の一言に、信周はもう一度紫色の渋めのネクタイを首にあてた。
「うん、それがかっこいい」
「そう? ハルがそう言うなら」
きゅっとネクタイを締めた直した信周と鏡の中で目が合って、晴日は「えへ」と微笑んだ。
ともだちにシェアしよう!