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十六日『似合う色の日』

 鏡の前で信周が頭を悩ませている。 「……これはちょっと暗いかな。やっぱ、別のにしようかな」    ネクタイの色がなかなか決まらない。今日はクライアントとの大切な打ち合わせ。ネクタイ選びもいつもよりも慎重になる。   「さっきのすっごくよかったよ。ノブくん紫色似合うよねぇ」    晴日の一言に、信周はもう一度紫色の渋めのネクタイを首にあてた。 「うん、それがかっこいい」 「そう? ハルがそう言うなら」  きゅっとネクタイを締めた直した信周と鏡の中で目が合って、晴日は「えへ」と微笑んだ。  

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