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二十三日『天ぷらの日』

 晴日の実家から届いた野菜をざくざく切って天ぷらにする。  ――天ぷらは美味いんだけどなあ、掃除が……なあ。うわ、また油はねたし。  晴日の手伝いをしながら、信周は早くも憂鬱だ。だって、片付けや掃除をするのはいつも信周の担当だから。 「はい、味見」  そんな信周の気も知らず、晴日が揚げたてのかき揚げを一つ信周の口元に差し出した。 「うん、美味い」 「うへへ」    新鮮な野菜にサクサクの衣、そして可愛い晴日。憂鬱なんてすぐに忘れる。     【参照◇二月七日『ふるさとの日』】

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