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七日『消防記念日』

 スマホの動画を一緒に眺めていると、信周がふと顔を上げた。すんすんと鼻を鳴らして、眉をひそめる。   「なあ、なんか焦げ臭くないか?」 「え? ああっ、大変」  さっきグリルに魚を入れたのを思い出し、晴日はバタバタとキッチンへ走った。信周が追う。 「うえぇ、やっちゃったぁ」  うっすらと煙をあげる黒い塊の前に二人で立ち尽くす。 「……燃えなくてよかったな」 「……うん」 「……き、気をつけような」 「……ん」    たまにはこんなこともある。夜ご飯は急遽、サバの塩焼きからカップラーメンに変更だ。

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