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二十六日『よい風呂の日』

 風呂の温度は四十一度。 「あつ、あつ……」  浴槽の隅では晴日が体操座りをしている。ぎゅっと縮こまって熱さに耐えているのだ。そこに信周が入ってきて、ざぶんと一気に体を沈めた。 「ああ、気持ちいいなあ」 「いやぁ、やめて。あっつぅっ」  湯のかさが一気に増えて慌てて立ち上がる晴日。熱い湯も気持ちいいけど、晴日はぬるめの湯が好きなのだ。信周は「ごめんごめん」と笑いながら、晴日の手を引いた。手をつないだまま、晴日はまたゆっくりと体を湯に沈める。

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