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九日『泣く日』

「ただいまぁ、ノブく……えっ? ノブくんっ?」  しきりにティッシュで赤くなった目元を抑えている信周の姿が見えて、晴日は玄関に荷物を放り出して駆け寄った。 「どしたの? 何か、あった?」  晴日が心配そうに覗き込むと、信周はキッチンを指差した。 「ハル遅いからカレーでも作ろうと思ったんだよ。そしたらさ、玉ねぎがさ……」 「え、玉ねぎ? なぁんだ、心配して損した……って、玉ねぎなの? ノブくん玉ねぎで泣いてんの? うははははっ」  晴日は笑いながらキッチンへ向かった。   「俺も手伝う、一緒に作ろ」 「ハルが玉ねぎ係な」 「オッケぇ」    晴日は手を洗うと、手際よく調理を開始する。

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