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九日『ポップコーンの日』
ポンっ。
最初の一粒が弾けた。「おおっ」と声を上げて、二人はフライパンを覗き込む。
ポンポンポンポンポンっ
鍋いっぱいに弾けるポップコーンを見て、信周が慌て始めた。
「なあ、こんなに膨らむもんなの? もういっぱいじゃん、少し出そうぜ」
「あっ、ノブくん今蓋取っちゃだめっ……ひゃぁっ」
「うおおおっ」
勢いよく飛び出してきたポップコーンを避けて、晴日はぎゅっと信周にしがみついた。二人で大量に散らばったポップコーンの中に立ち尽くす。まだ軽く弾けるフライパンをそのままに、一緒に大笑いして。ひとしきり笑った後、晴日は皿を持ち、床のポップコーンを拾い始めた。
「落ちたやつだよ。食うの?」
「大丈夫だよ、このくらい。いつもノブくんがきれいに掃除してくれてるしぃ」
そういう問題なのか、と疑問に思いつつ、信周も一緒にポップコーンを拾い集める。
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