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六日『お見合い記念日』

「吉永くん、裏に猫が赤ちゃん産んでるの知ってる?」  晴日がバイトに行くと、店長に話しかけられた。 「あ、俺も見ました。可愛いですよねぇ」 「吉永くんも知ってたんだ。それがさあ、昨日くらいから親猫の姿を全然見ないんだよね」 「えっ、そんなぁ? 俺が見たときはまだいたのに」    晴日は驚いた。事故にでもあってしまったのだろうか。   「子猫たちまだ上手に歩けないでしょ? 誰かお世話してくれる人探してみようかなって思ってるんだけど、吉永くん、ポスター作り手伝ってくれないかな」 「はい、俺やります」  今日の最初の業務。子猫の写真をとって、店長と一緒にポスター作り。   「いい人に巡り会えますように」  祈りながら晴日は店のドアにポスターを貼る。     【参照◇十一月三日『いいお産の日』】

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