312 / 368
六日『お見合い記念日』
「吉永くん、裏に猫が赤ちゃん産んでるの知ってる?」
晴日がバイトに行くと、店長に話しかけられた。
「あ、俺も見ました。可愛いですよねぇ」
「吉永くんも知ってたんだ。それがさあ、昨日くらいから親猫の姿を全然見ないんだよね」
「えっ、そんなぁ? 俺が見たときはまだいたのに」
晴日は驚いた。事故にでもあってしまったのだろうか。
「子猫たちまだ上手に歩けないでしょ? 誰かお世話してくれる人探してみようかなって思ってるんだけど、吉永くん、ポスター作り手伝ってくれないかな」
「はい、俺やります」
今日の最初の業務。子猫の写真をとって、店長と一緒にポスター作り。
「いい人に巡り会えますように」
祈りながら晴日は店のドアにポスターを貼る。
【参照◇十一月三日『いいお産の日』】
ともだちにシェアしよう!