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三十一日『大晦日』
いつもより早起きして、まとめておいた荷物を持って新幹線に乗って。今二人は実家のマンションの前にいる。同じマンションの、信周は三階、晴日は五階。エレベーターの中で名残惜しそうに抱き合い、でもぱっと離れた二人は顔を見合わせ、笑顔を交わす。
「じゃあ、また来年ね」
「ん、ハル、よいお年を」
「ノブくんもね」
しばしのお別れ。でも寂しくなんかない。明日の朝には一緒に初詣だ。来年もきっと愛に溢れた毎日が二人を待っている。
【完】
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