38 / 40

番外編 元祖破天荒と新破天荒 5

 「ケンショー!ま、まさかここにジュン様が・・・」 なんと、長老のタイショーさんが憑依して飛んできた。その後ろには、これまた憑依したトシさんとヨシさんもいる。 「あ?どうした長老。それにトシとヨシも」 憑依を解いた三人は、ジュン様とレン様、そしてカグラを見て固まっている。 何とか復活した長老がチラチラとジュン様を見ながら話し始めた。 「わ、ワシはジュン様の大ファンなんじゃ・・・だから魔族配信でジュン様のライブが配信されると鏡が反応するようにしておる。さっきのライブ配信を見ておったら・・・バックはボヤけておるが、二の滝のように見えて・・・音も二の滝の轟音に聞こえるしの。 それで完全憑依して山に同調してみたら、山がいつになく喜んでおる。これはと思い来てみたんじゃが・・・」 「おっ!じいさん、おれのファンなの?嬉しいねぇ。山狼族にまでファンがいるとはな。しかもライブ配信まで見てくれてありがとよっ!」 「あ、ありがとうございます。ワシは山狼族の長老、タイショーですじゃ。これは契約精霊のグン、コヨーテでしての。あぁ、ジュン様にお声をかけていただけるなんて夢のようじゃ・・・」 「へ~コヨーテか!いい精霊じゃねぇか」 ・・・あの長老が涙ぐんでいる・・・ルイが言った通りじゃん!ジュン様強っ! 長老、犬科動物の精霊至上主義はどこいったの? 「あの、おれ、ヨシと言います。こっちは契約精霊のミック、リカオンです。 お、おれはカグラ様推しでして・・・いつもご活躍を拝見しております! うわぁ、生カグラ様に生ミミ様ヤバい・・・」 ヨシさんもかっ?! 「え~?あたし配信はやってないわよ?今日はジュン様と一緒に歌っちゃったけど」 「あ、あのイアン様がたまに配信なさる『本日の最終兵器様』です!カグラ様の素晴らしい活躍っぷりが堪能出来る最高のチャンネルかと・・・」 「はぁっ?!あの下僕めっ!あたしの許可なくそんな事やってんのっ?!!しかも何、そのダサいネーミング・・・ちょっとイアンをシメてくるわ。 長、今日はありがとう!アスミ、またゆっくり話しましょ。シーナとシーアもまたね。それとヨシさん、ありがとう!今度ミックと遊ばせてね」 そう言ってカグラとミミは瞬間移動で消えた・・・こっちのカグラは嵐というか竜巻みたいだったな。巻き込まれたら逃げられないって感じで。 う~ん、そのイアンって人大丈夫か? 「カグラ様が行ってしまわれた・・・だが、一目会えただけでも奇跡なんだ。名前まで呼んでいただけたし・・・ あぁ、あのライブ、素晴らしかったなぁ・・・カグラミ様が二の滝で歌っていたなんて・・・」 「あらぁ、わたしは生で見たわよぉ。前魔王様とのライブ、感動して泣いちゃったわぁ。残念だったわねぇヨシ。今日のハイキングに参加してたら生で見れたのにぃ」 ヨシさんに追い打ちをかけるシーアさん。うん、やっぱりこの人ちょっと性格悪いな。 「あのう・・・おれはトシといいます。こっちは契約精霊のヤック、ジャッカルです。 実はおれ、前魔王妃様の音響調整が好きでして・・・前魔王様のライブ配信は、他の人の配信とは音の出方が全然違うんです!その調整をしているのが前魔王妃様だと知ってからはずっと尊敬しております」 えっ?!トシさんも??マジで? 音響調整ってまたマニアックな・・・あっ、前世でもレンさんはMAGやJUNの専属PAだったからな。そういえば前世のトシさんは音響マニア的な人だったっけ?レヴェルリーでも「今日はこの場所が一番音がいい」とか言ってたような・・・ 「おっ?!良かったなレン。お前の腕を褒められておれも嬉しいわ」 ジュン様にそう言われ、はにかむレン様。前世から思ってたけど、かなりの美人さんなんだよな。 「トシさん、ありがとうございます。音を褒められるのは本当に嬉しいです。ジュンさんの歌声を一番いい音質で配信出来るように・・・俺、これからも頑張りますね」 そう言って微笑むレン様を見て、真っ赤になるトシさん。あれっ?ちょっとシーナさんが不機嫌そう?これはもしかしていい兆候では? 「よしっ!んじゃ今日は解散するか」 ケンショーさんの一言でみんなそれぞれにあいさつをする。いつのまにか日が暮れてきて、そろそろ夕方だ。ルイは夜までに戻らないとショウが拗ねるって言ってたし。 「トワ、リュウセイ、ルイ、今日はありがとうな。また来てくれよ」 「おう。アスミが幸せそうで良かった。犬科精霊もたくさん見れたしな」   リンクのおかげでシーナさんも喜んでくれたよ。ありがとう、トワ。 「ジュンキル様とカグラミ様のライブは素晴らしかった。いいものが見れたよ。ありがとうアスミ。それにあの滝はいい。オレもドラゴンに戻って滝つぼに潜ってみたくなった」 リュウセイ、最初のは俺に礼を言う事じゃねーぞ。ドラゴンに戻ったらシーアさんは喜んだだろうな。 「ジュン様とカグラがごめんね。今度は邪魔されないようにするよ。けど長老さんもこれで何とかなりそうだし良かったんじゃない? あっ、そうだ。次はマジョリカにも来てくれるんでしょ?待ってるからね」 ルイ、邪魔って・・・けど、本当にジュン様とカグラが来たらすべて解決しちゃった感じだよな。マジで最終兵器だよ。正直、拝み倒したいくらいありがたい。 で、マジョリカはかなり楽しみ!嬉しいな。 「みんなまた来てねぇ。ルイ様は今度はショウ様と一緒にねぇ。リュウセイくん、他のドラゴンさんも紹介してくれたら嬉しいわぁ。番のいる王子様とかぁ」 はいはい、シーアさんは黙ってて。 それに比べて、リンクにこっそり手を振るシーナさんは可愛い! 「世話になったな。突然乱入して好き勝手しちまったが、また山に来させてくれ」 ジュン様がケンショーさんに言う。 「あぁ、オレも楽しかったよ。また来てくれ。今度は狩りでもするか?」 「おっ!いいねぇ!ぜひ呼んでくれ。キルも喜びそうだ」 何かこの二人仲良くなっちゃったよ。 色気のある大人な超絶美形二人の友情・・・ シーアさんはギラギラした目で見ている。今にも涎を垂らしそう。 しかもシーナさんまでちょっと頬を染めてるし・・・ でもこれは俺も気持ちは分かる。 控えめに言って尊いです!!

ともだちにシェアしよう!