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開幕

アイドル。 それは人々に夢を与える、美しく尊い存在。 見目麗しき男女がパフォーマンスをし、時にはバラエティで体を張り、時にはドラマで違う一面を魅せる。 ファンもきちんと一線を画(かく)して応援する者から、ガチ恋勢と言われる本気で恋愛感情を抱く者まで、簡単には説明出来ない程様々だ。 殆どが前者であるが、後者は決して自分のものにならないと何処かで分かりつつも、僅かな希望を抱き少しでも近付こうとするー。 (い、いや……お、俺は決してガチ恋勢じゃないっ……。じゅ、純粋にアイドルとして昂大(こうだい)さんが好きなんだあああ!!) つらつらと心の中で言い訳するのは、俺、高岡碧希(あおき)。 十六歳の高一で、陰キャでありながらアイドルを始めた男だ。 そう、今俺は史上最強に愛らしい我が最推しアイドル、三吉昴大(こうだい)と同じグループ『未来永劫』で活動している。 だがこの熱く熱い熱すぎる想いは、知られてはならない。 それにどんなに気持ちが強くても、不純なものではな (お、推しがっ……俺の肩に頬をこすりつけっっっ……!!) ロケバスでの移動中。 真横で眠っている最推しが、肩にもたれかかって来るという、恋愛ゲームでもなかなかお目にかからないベタなシチュエーションに、白状しよう、俺は動揺を隠せなかった。 真っ黒いフサフサの髪の毛、真っ白な肌と真っ赤な唇ーおまけに赤ちゃんみたいないい匂いがする。 (oh……落ち着け、落ち着くんだ俺……えーっとこういう時は円周率がいいって聞いたぞ……3.141……しか覚えてなかった……) なんてクールを装いつつ、間抜けな思考から抜け出せない。 そもそも何故このような、夢以上に夢のような状況にまで漕ぎ着けたのか。 自身を落ち着かせる為にも、俺は回想に耽(ふけ)った。 推しに会えなくなりそうだったので、陰キャな俺がアイドル始めました

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