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第1話

 時は大晦日。  除夜の鐘をついて甘酒を貰いに神社に寄ると初詣を済ませる。隣には去年と同じく研磨がいる。幸せだ。 毎年の行事とは言え、クロは今あることがして欲しくてウズウズしていた。 それは研磨にウサ耳カチューシャをつけて欲しいことだった。 でも言ってもきっと素直にはつけてくれないだろう。だけど今年は兎年だから研磨のウサちゃん姿が見たくて見たくて仕方なかったのだ。  家まで帰る道すがら。今から初詣に行く近所の人とあいさつをして暗い夜道を歩く。  どう言おうか……。なんて言ったら研磨はウサ耳カチューシャつけてくれるだろう……。  悶々としていると突如として研磨が立ち止まった。 クロは数歩歩いて隣に研磨がいないのに気付くと慌てて振り返って、止まっている彼の元まで戻る。 「どうした?」と言おうとしたが、それより先に研磨に服の端を引っ張られて前のめりになったついでに抱き着かれてチュッと唇を奪われる。 「んっ……」 「クロ、明けましておめでとう」 「お、おぅ……」  あまりの不意打ちにびっくりするやら嬉しいやら。 クロはニヤける顔を抑えながらそう返事をしていた。 その場が暗いのもあって、即座に抱き締めてその温もりを確かめると、そのまま抱えて走り出す。するとガツンッと一撃されて研磨を地面に下ろした。 「歩けるからっ」 「ごめん……」  言われて謝ると、以後はおとなしく家路に着く。  うーん……。 〇  毎度のことながら、研磨の家に上がり込むと彼の部屋で向かい合って、改めて新年のあいさつをする。 「研磨君、明けましておめでとう。今年もよろしくお願いします」 「明けましておめでとう、クロ。とりあえず今年もよろしく」 「うん」 「……」 「でさ」 「なに」 「これ」  お泊りバックから紙袋を取り出して相手に差し出す。 「待った。俺も」 「ぇ?」  言われてちょっとビックリしたが、研磨も机の引き出しから同じような紙袋を取り出すとクロに差し出してきた。 「はい。交換」 「ぁ、うん……」  若干研磨の紙袋のほうが大きいような気がしたが、流れで物を交換する。そして同じタイミングで開封するとクロは言葉を失った。 「研磨くん、こ……れは…………何かな……」 「クロのバニーちゃん、見たいな」 「ぇっ……」 「バニーちゃん」 「ぇぇぇーーっ……」  俺はなんて可愛いんだろう……。  自分のその姿を思い描いてではなく、自分の渡した物の幼稚さを思って出た言葉だ。 研磨はクロの渡したウサ耳のカチューシャを付けながらニコニコ期待している。 クロは手にした紙袋をグシャッと握りしめながら「はははっ……」と空笑いをするしかなかったのだった。 ● 「これでいいかよっ」 「うんっ」  出来れば、絶対に、断りたかった!  でもウサ耳カチューシャ姿の研磨には逆らえない。 何故ならこれを断ったらもう二度と同じことはしてくれないだろうなと思ったからだ。  にしても恥ずかしいっ……!  網タイツに白い尻尾の付いた女子の水泳水着のようなレオタードに白い襟とカフスとウサ耳カチューシャ。 股間の部分がモッコリしていて妙にリアルで恥ずかしい限りだ。 「クロ、ベッドに腰かけて」 「ぇ、ぁ、うん……」  言われるままにベッドに腰かけると研磨が襲い掛かるように抱き着いてきた。 「えっ!? なっ、なに!?」 「おとなしくして」 「ぇ……」 「今日くらい、俺にリードさせてよ」 「ぁ、ぁぁ……」  ホントに? あれ、俺、研磨に襲われるの? 奪われちゃうの?  なんて思ってると馬乗りになられて服の上からモノをしごかれる。 太ももの上に陣取られながらそんなことをされて、極めつけは研磨がそこに陣取って揺れだしたこと。 股をクロの太ももに擦りつけてニッコリと微笑まれるとゴクリと生唾を飲み込む。 積極的に股間を攻撃されると、ソコがどうしようもなくなるのも自然の成り行きで。クロはソコを硬く大きくさせて上に乗っかっている研磨と体勢を入れ替えようとした。が、「駄目」と言われてされるがままに。  網タイツを履いたレオタードの中に研磨の手が差し込まれて揉みしだかれる。 「ちょっ……研磨っ……も…………」 「そのまま出して」 「ぇっ!? そ……んなことしたら…………」 「いいから。着衣のまま出すの、見たい」 「ぅっ……ぅぅっ……ぅ」  こいつ、なんて破廉恥な奴なんだろうっ……!  思いはしたが、そんな行為したことないから萌えた。萌えたけど、恥ずかしいのに代わりはないから頬が赤く染まってるんじゃないかと思うくらい熱く感じた。  こんな格好でさ、ウサ耳研磨に抜かれるとかっ……。なんてシチュエーションっ! 「もっ……駄目だからっ。研磨っ……ぁっ……」 「もっと言って、俺の名前」 「研磨っ」 「うん?」 「も……ほんとにっ……」 「俺の手の中でイって」 「あっ……! ぁぁっ……ぁ」  ギュッと握られながら布越しに割れ目に爪を立てられる。それがまた適格だったから、十分時を満たしていたクロのモノは簡単に下着の中で果てたのだった。 「ぅぅぅっ……ぅ」  スッと研磨の手がレオタードの中からいなくなる。すると下着の中で果てたソレが染みてだんだん布越しに現れてくる。それをジッと見つめられて思わず自らの顔を覆ってしまったが、研磨に動きはなかった。 「研磨くん。満足?」  もういい? と聞くと「うんっ」と返事をされる。 だからさっさとそこから退いてくれると思っていたのに、研磨はそこからなかなか退いてくれなくて覆っていた指の合間から彼を見た。 クロに跨ったままの研磨はウサ耳カチューシャを乱暴に投げ捨てるとおもむろに上半身を脱ぎ去って立ち上がった。 「ちょっと待ってて」 「ぇっ……」 「いいからステイ」 「お、OK……」  いったい何をするつもりなんだろう……と身動きせずに待っていると、カーテンの向こうに消えた研磨がシャッと音を立てて姿を現した。 「ぇっ……」 「お揃い」 「ぇぇっ……」  研磨はクロが今着ているのと同じバニーちゃんスタイルだったのだ。 「クロはこういうの、俺に着せたかったんでしょ?」 「ぁ、ああ。そう……だけど…………」 「俺も、クロの困った顔見たかったし、今年は兎年だしね」  ニッコリと微笑まれると、抱き着きたいのを押さえて来て欲しいと手を差し伸べる。それに従って手を出してきた研磨を引き寄せて抱きしめてその首元に顔を埋める。 「可愛いっ」 「よく見てないくせにっ」 「でも可愛いっ」 「クロもなかなかだよ」 「俺はいいんだよ、俺は」 「…………する?」 「うん。でももうちょっと研磨のバニーちゃん楽しんでから」 ○  ひとしきり研磨を嗅いでから自らのウサ耳カチューシャを取っ払い、レオタードも脱ぎ去ると下着毎網タイツもツルンと脱ぎ捨てる。布団の中だからそんなことも出来るわけで、研磨も同じことをしようとしていた。 「研磨くん、それは俺の仕事だから勝手に脱がないで」 「ぇ、面倒くさい」 「だってせっかくのバニーちゃんなのに……」 「早く終わらせて初夢見ようよ」 「ぇ、そんな魂胆?」 「うん。俺の目的はもう達成したし、後は寝るだけ」 「だって『する?』って言ったじゃん」 「それはオマケ。でもそうなればそれなりに萌えるよ?」 「そうなんだ……」 「うん」  可愛く言われて脱力する。だけど研磨の言葉をそのまま受け取るなら、これから先をしても大丈夫と言うこと。 クロは自分の気持ちが萎えない内にしたいことをしようと研磨が服を脱ぐのを容認した。 お互いに全裸になると改めて抱き合ってキスをして素肌の感触を味わう。相手の股間を弄りながら変化を確かめ、その奥へと指を進める。 「クロ。ローション塗って……」 「分かってる」  ベッドのマットレスの下に仕舞ってあるチューブのローションを取り出すと研磨を抱きながら彼の秘所へも塗り込む。塗り込むついでに中への侵入も忘れずにして、研磨をその気にさせていく。 「んっ……ん……ん……」 「バニーちゃん、気持ちいい?」 「も……脱いだから違うのにっ…………」 「でも俺の目にはいつでも研磨は可愛いバニーちゃんだ」 「っ……ぅぅっ……ん……ん…………。クロは目が悪いんじゃない? 俺はただの男だよ」 「俺もただの男だよ。でも、プラス研磨が好きなただの男だ」 「ふふふっ。じゃあ、俺も。クロ、大好きっ」  ギュッと抱き着かれて耳元でそんなことを言われると昇天しそうになる。必死にそれを抑えて気合を入れると挿入する指の数を増やした。 「研磨のココはさ、そろそろ俺を受け入れてくれるかな……」 「ふっ……ぅぅ……。どう思うっ……?」 「入れ……たいけどな……。もう少し……」 「あっ……んっ! んんっ! んっ!」  グイグイと指を押し入れると研磨が懸命にそれを受け入れようと努力する。これはあまり我慢させると先が続かないなと判断したクロは、即座に自分のモノをしごくとソコに宛がい押し進めた。 「あっ! ぁぁっ……! あっ! あっ! あっ! んっ!」 「くっ……ぅぅっ……ぅ」  やっぱりちょっとキツかったかな……と思いながらも突き進む。研磨の脚が腰に絡みついって一緒になって動いているような感じだ。」 「クロっ……んっ……んっ……んっ。もっと……もっと奥まで来て!」 「分かったっ」 「あっ! んっ………! んんっ!」  担ぎ上げて串刺しスタイルにすると研磨の腰を掴んで上下に動かす。研磨は必死になってそれに応えようと自らも腰を上下に動かす。 「クロっ……好き……!」 「俺もだよ、研磨っ」  研磨の腰をググッと自分に押し付けると、自分も研磨に突き上げて彼の中に精を注ぎ込む。 「んんんっ!」 「んっ!」  ドクドクドクッと頭の中で音がする。クロは楚々板モノが漏れ出てこないようにギュッとソコを密着させる。  初詣の後はバニーちゃんで楽しんで一年が始まる。 「もう一回バニーちゃん、着てくれない?」 「もうヤだ。クロが着てくれたら着てもいい」 「それは……すんません」  今年もいい年になりそうだ。 終わり タイトル「初詣のうさぎ」 20230126

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