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ー鼓動ー61

 そこで俺の方は気持ちを入れ替えて立ち上がると、 「俺が皿洗っておきから、お前はゆっくりしてろよ」 「あ、え? ありがとう」 「俺は確かにあんまし料理は出来ないけどさ、皿ぐらいは洗えるからな」 「え? あ、ああ……せやな。 ほな、宜しく」  そう言いながらも雄介は今使ったお皿を簡単にではあったのだが、水で洗い流しといてくれたらしい。  ご飯を食べ終わった後にこうやって簡単に水で洗い流しておいてくれるだけでも、お皿を洗う時間が短時間で済む。 雄介の場合、毎日のようにやっている事なのだから当たり前って思うのかもしれないけど本当にそれだけでも助かるという事だ。  こうした気遣いというのか、ま、雄介だからそういう事を知っているという事だろう。  そして俺がお皿を洗っている間に、さっき約束していた事を雄介はちゃんと覚えていてくれたのかお風呂場に行って、どうやらお風呂にお湯を溜めに行ってくれたようだ。  そしてソファに座ると俺に言われた通りにテレビを点けながらゆっくりとしていた。  今は二人だけの空間なのだから雄介が好きそうな番組を見ているらしい。  暫くして俺は食器を洗い終えると雄介がいるソファへと向かう。  だが俺からしてみたら後からそういう所に行くと、未だに何処に座ったらいいのか? っていうのが分からない。  そういう行動に関しては、まだ素直になれてないっていう所だろう。  仕方なく雄介から離れてるソファへと腰を下ろすのだ。  その俺の行動を雄介はさり気なく視線で追っていたかのように思えたのだが、その後雄介が俺に何か言って来る気配いうのはなかった。  和也達四人で居る時というのは、みんなで楽しめることもあってかクイズ番組が多かったのだけど雄介一人で見てる時というのはバライティ番組のようだ。  俺の方もたまには文句を言わずバライティ番組番組に視線を向ける。  だが今回は不思議とバライティ番組が面白く感じていた。 「へぇ、こういうお笑い番組って結構面白いんだな」  その言葉に雄介は俺の方に視線を向けて来る。 「……へ? そうなん? いつもはつまらなそうに見ておったのに!?」 「え? んー……なんでだろうな? 今は面白く感じれるようになってきたっていう事なのかな?」 「んー……前と違って心に余裕が持てたって事なんと違うかな?」 「あ! そういう事なのかもしれねぇよな。 良く言えば真剣に番組を見れているから楽しめているって事になるのかもしれねぇよな」 「ぁあ! そういう事な、完全に何も考えないで見とる状態やから、面白く感じてるんと違う?」 「ぁあ! そうなのかも。 ま、たまには面白くない奴っていうのもいるけどな」 「そりゃ、そうやろ、お笑い芸人やって一人一人個性も違うし、それに見てる人によって笑いのツボだって違うねんからなぁ、そこはもう十人十色って事やろうしな」 「まぁな……」

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