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ー鼓動ー76
「そうだったんだ」
「確かに望は子供は苦手なんかもしれないんやけど、今の小児科っていうのはそんな感じなんやで。 ほんで、俺は朔望と一緒やったし、朔望とはよく話しておったわぁ……ってか、正確には相談って事かな? 歳は俺の方が一個上やったかもしれへんけど、やっぱ、朔望の方が俺より医者としては先輩やったからなぁ、だからな……」
「え? あ、まぁ、そうだよな」
「それに、朔望とおったら、毎日のように望の事見てるようなもんだったしな」
そうふざけて笑う雄介。
「え? あ、まぁ、確かにそうだけどよ」
その言葉に俺の方はムッとしてしまっていた。
「え? 何!? 今の朔望の話で望は嫉妬してまったんか?」
そう俺はその朔望の話を聞いてからというもの雄介から視線を逸らしてしまっていたのだが、雄介はそんな俺の頬を指先で突いてくる。
「あ、いやぁ……別に……」
そう言って未だにそっぽを向いてしまっている俺。 でも、これでは明らかに嫉妬しているのが雄介にはバレバレだろう。
「ま、そういう所っていうのはホンマ望の可愛い所でもあんねんけど。 ま、とりあえず、朔望とは仕事仲間っていうだけあって、望みたいな感情は抱いた事はないから安心して。 双子やからというても朔望と望では全然違うもんやしなぁ」
その雄介の言葉に俺は興味を持ったのか再び雄介の方へと視線を向けると、
「なぁ、俺と朔望じゃ顔はそっくりなんだと思うんだけどさ、なんか違うもんがあるのか!?」
「え? あ、まぁ……え? 全然全くもってそこは違うかんな。 って、言うても、ま、見た目では眼鏡やろ? って、望はそういう意味で聞いて来たんと違うのか? あ、それやと、体とか顔とかって事か?」
「体の方は別にいいからさ……顔とかかな? 俺はホント朔望とだとそっくりとしか思えないんだけどなぁ? なんていうの? 第三者から見て、そんなに違うもんなのかな? って思ってさ。 うん、まぁ、例えば、朔望が眼鏡掛けたら、雄介は俺と朔望の違いっていうのは分かるもんなのかな? っていう事なんだけど」
「そう言われると、どうなんかな? 俺的には全然、朔望と望を見分ける自信はあんねんけど、その違いは? って聞かれてもうたら分からん所なんかなぁ?」
「え? そういうもんなのか?」
「え? あ、まぁ、雰囲気が違うっていうんか? オーラみたいなのが違うっていうんか? まぁ、似たり寄ったりの事を言うとるんやけど、ま、そんな感じなんやって。 確かに朔望も望も似てる、だけどなぁ、なんか違うんやって。 子供が双子で親が見分けられるように、恋人の俺にだって見分ける事が出来るって言ったらええんかな?」
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