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ー鼓動ー107

「確かにな……感謝しなきゃなんねぇよな?」 「そうやろ? 俺達っていうのは自然の恵みによって、こうして飯を食べていけるんやからな。 あの地震から、それを実感したし」 「まぁ、確かに、あの時、本当に物資とかも滞っていて、まともにご飯食べれてなかったしな。 確かにそれを考えると食べ物には感謝しかねぇよな? 俺だって、あの地震からは食べ物の大切さが分かったから食堂で食べる時には残さずに食べるようになったんだけどさ……」 「確かに食べ物を残さずに食べるっていうのは、当たり前の事なんやけど、それを機にちゃんと望も食べ物に関して考えるようになったんやったら良かったんじゃないの?」 「え? まぁ、そうだよな。 確かに、ちゃんと考えるようになったしよ。 しかも、世の中には自由に食べ物を食べれない人達もいるんだし、そういう事を考えたら残しちゃいけないっていう気持ちにはなったかな?」 「ま、確かにな、そういう点では日本という国は恵まれておるし、食べ物には不自由しない国って事やからな」 「そういう事だ。 それに、今は食物アレルギーで食べ物を食べれない子もいたりするんだもんなぁ」 「そうそう! 俺が病院で働いている時に、ホンマ、そういうお子様沢山見て来たわぁ。 一番多かったのは卵だったのかな? まー、卵って色々な料理に使えるかんなー、まぁ、後は牛乳とかか? せやから、世の中にはホンマ食べれない人もおんねんから、ちゃんと食べれる俺達が食べて行った方がええと思うねん」 「あ、ああ……確かにそれはそうだよな」 「食物アレルギーっていうのは、重症化したまうと死に至ってしまう訳やしな」  そう強く言う雄介。  確かに雄介は小児科医だったのだから、そういう現場は何回も見てきたのであろう。 「……ってな事やから、望は食べれる人間なんやからなぁ、ちゃんと食える時にはちゃんと食わんとアカンねんで」 「え? あ、うん……分かってる」 「因みに好き嫌いもアカンねんからな」 「そりゃ、小さい時にはあったのかもしれねぇけど、流石に今は無いと思うんだよなぁ? だって、雄介が作ってくれた料理残した事あるか?」 「ぁあ! そこは流石になかった事だったのかもしれへんなぁ」 「だから、今は残さずにきちんと食べてんだろ? まぁ、たまに量が多いって感じる時はあるけどな。 そうそう! それで、思い出したわぁ、お前さ、自分は大食漢かもしれねぇけど、俺はお前のように大食漢じゃねぇんだから、もうちょっとおかずの量とかって減らしてくれねぇかな?」 「へ? あ、そういう事な。 全然、そういう事、今まで気にしてなかったわぁ。 あー、それはスマンかった」  そう言いながら頭を下げて来てくれる雄介。 「ま、それはいいんだけどさ。 とりあえず、俺の食べる分だけ減らしてくれたらいいからさ」 「ああ、ま、今度から望の量は少し減らして出すな。 って事は今までそれを我慢して食べてくれてたんか?」 「え? あ、まぁ、そうだけど。 だから、いつも俺の腹っていうのは、満腹に近い状態だったんだけどな」 「そうは見えへんかったけどな」 「でも、そうだったの! 腹八分目って言うだろ? 満腹になり過ぎると動きづらいんだよな」 「あー、分かったって。 ま、そこまでして俺が作ってくれた料理食べてくれてありがとうな」 「え? あ、ぁあ! うん……」  そう言われてしまうともう返す言葉が無くなってしまう。  ……ま、美味しいから食べてられるっていうのもあるんだけどな。 でも、食べ過ぎって言うのも良くない訳だしさ。

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