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ー鼓動ー197

「桜井先生と吉良先生……こんにちは」  と一応今回担当の新城先生が声を掛けて来る。 「まぁ、見ての通り……大丈夫だと思いますよ」  そう言うと新城先生はパソコンの画面を見せてくれる。 「先生達なら説明しなくても見れば一目瞭然でしょ?」 「あ、まぁ……そうだな」 「これが本当に何も知らない患者さんでしたら説明が必要なのかもしれませんがね」  確かにこれを見る限りでは雄介に異常は感じられなかった。 「ああ、これで……納得。 確かに雄介の言う通りだったのかもしれねぇな」  それを見て安心する俺。 「じゃあ、今日はもう大丈夫ですか?」 「ああ、もう……大丈夫だ。 納得出来たからな」 「そうですか? 最近どうなんですかね?」  といきなり普通の話題なのか振ってくる新城。 「どうって何がだよ」 「え? あー、そこは、私生活の方もですが……今は島の診療所の方で働いていたんですよね?」 「え? あ、まぁ……そうだけど……ま、普通にやってるさ」 「その普通っていうのが聞きたいんですけど」 「あのな……今は何でもなかった俺達より次の患者さんの方にしてやれよ」  俺がそう言うと新城先生はクスクスと笑っていた。 「午前中の方は終わりましたけど……桜井先生達が午前中最後の患者さん達ですから」  それを言われて俺は時計を見上げる。  ……確かにそうだ。  気付いたら、もうお昼過ぎていた。 「だけど、新城先生だって、昼休みとかあるんじゃ」 「別にこういう仕事なんかしていたら、休憩なんてあるようでないようなもんじゃないですか……なので、そういうとこ気にしませんけど、私的には吉良先生達の方が気になるんですけどね」 「別に気にしなくていいし……って、事で俺達の方は用事終わったし帰るな」 「あ、そうですか。 では、また」  そうあっさり帰してくれる新城先生。  これが前だったらぐちぐちと何か突っ込んで来ていたのであろうが、今日はそれ以上突っ込んで来なかった。  俺達は診察室を出て会計の所へ向かうと、またここでも待たされる事になる。 「え? だって、もう、診療時間は終わったんだろ?」 「まぁ、会計のとこは仕方ないやろうなぁ。 今まではそれぞれ科が違っておったけど、会計のとこは一つしかないしな。 ま、ゆっくり待とうや」  そう言うと雄介はもう分かってるかのようにソファへと腰を下ろすのだ。

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