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第9話 信頼していても隠したいことはある
あっ、おはよう駆!」
昨日から今朝まで悩みの種だったり、色々と疲れさせられた元凶の人物が教室に入った俺に声をかけてくる。そいつは昨日別れた時にはなかったいつもはある棒突き飴を口に咥えて変わらないニコニコとした明るい笑顔を浮かべた篝響 だ。普通なら見てるこっちも笑顔になってくるような魅力的な笑顔だ
だが今の俺には逆効果でしかなち。普段通りに声をかけてくるこいつに沈静化してきた怒りが再燃してきた。俺の方は昨日の事が度々頭にちらついて思面倒なのにこいつはそんな事がなさそうでイラッとする
多少気まずそうだったりするならまだ良かったがこいつはそんな様子もなく、普通に声をかけてきたその神経に腹が立つ。今朝の出来事から秋人のいる前では控えようかと思っていたが面倒だから予定変更だ
「あぁ、おはようございます。それで何かようですか#篝__かがり__#君」
さすがにここまでやれば秋人だけじゃなくて春樹も気づくだろうな。でもこの際、隠すのはもうやめておく。このバカの為にわざわざ俺が気を使うのは面倒だからだ
まぁ、そのせいで2人とも目に見えて分かるくらいに驚いた顔をしているけど。知ったこっちゃねぇ
「うぇ?え、えっと昨日の疲れとか残ってないか?それがちょっと心配でさ。体大じょーー」
「あー、篝君。昨日の事はくれぐれも誰かに喋ったりしないようにお願い出来ますか?」
響は目に見えてわかるくらいに動揺している。そしてあろうことか余計な事を喋りかけたので遮った。そして釘を刺すのも忘れない。昨日は突然の展開に忘れてたから今のうちにしっかりと言っておく
ったく、このバカは本当に何してんだ。他の奴がいるところで出していい話題じゃねぇだろうが
まぁ、今回は俺の態度に驚いて動揺したのもあるだろし、今回だけは大目に見るけどな。けど念入りに釘を刺しておいた方がいいかもな
「あー、もしも不必要に誰かに喋ったりしたら」
「したら?」
「さぁ、どうするんでしょう?僕にも自分が何をするのか分かりません」
そう言いながら俺はわざと響にわかりやすい作り笑顔を向ける
それを見て響は少しビビっている。おまけで秋人と春人もちょっと怯えてしまっていた。何かごめんな2人とも
昨日のきょとんとした様子からと違ってちゃんと意味が分かっているようだ。本当変なところだけ感覚がずれてるんだよな
「わ、分かった。勝手に言ったりしないから」
さすがにこれくらい言っておけば大丈夫だろ
「ありがとございます。納得していただけてよかったです。それじゃあ僕はこれで」
「えっ、いやまだー」
「終わりましたよね?」
「あっはい。すみません。終わりました」
そうして俺は会話を切り上げ自分の席に向かう。そして先程から静かにしていた春人が俺に話しかける
「駆くん朝言ってだってのってもしかして篝君と何かあったの?」
「ちょ、春君!やめとこうって!」
ド直球に聞いてきた春人を朝と同じようにあたふたとしながらも秋人が速攻で諌める。多分昔からこんな調子だから秋人は遠い目をしたりするんだろうな
「いや、でもこれ多分聞いておいた方がいいんじゃないかな」
「そうかもだけどこういうのはもっと慎重にしようよ」
あっ、秋人も一応止めはしたけど聞こうとはしてたんだな。まぁ、別にいんだけどな
「はは。別に大した事じゃない。俺とあいつで個人的な問題が起きただけだから心配するな。朝も言ったけどわざわざお前達に相談する程の内容でもない気にするな」
本当の事を言わないのには申し訳なさを感じる。だけど、あのバカとの関係性を言う事は出来ない。逆に言える奴がいるのか?偶々家で飲んだジュースが実は梅酒でそうとは気付かずに飲んで泥酔をして、付き合う事になって体の関係を持った。けど酔っての告白はノーカンにしようとしたけど、結局付き合う事になった。しかもこれが昨日で俺は初体験
………無理だろ!こんな言える奴いねぇよ!?少なくとも俺は無理だ。高1にはキツすぎるんだよ!
そういうわけで多少の罪悪感はあるが正直に言うのは遠慮させてもらう。それに嘘は言ってない。俺が言った言葉は全部事実だ。ただ普通に考えたら逆の意味を思い浮かべるだろうけどな
「そ、そう?ならよかった。」
「あはは。秋ちゃんは心配しすぎなんだよ。もう少し気楽に行こうよ」
「そう言われても僕はこういう性格だから簡単には変わらないよ」
この2人は相変わらず仲がいいな。でもって秋人の方はやっぱり色々心配性だな。そんな秋人を春樹が昔から引っ張って細かいところを秋人が気にかける。っていうのが今のこの2人の関係性できっと昔からこんな感じだったんだろうな。この2人を見てればなんとなく想像できる
「それで駆君は篝君とはいつまで今の状態を続けるの?」
「えっ、えっと駆君よかったの篝君とは凄く仲よかったと思うんだけど」
春樹は再度俺と響との事を聞いてくる。先程の俺の答えで問題ないと判断したのか今度は春樹を止める事はなかった。それどころか春人に乗っかる形で自分も聞いてきた
少し以外だったが秋人は意外と強かな一面があるし、秋人自身も結構気になってるのかもしれないな
それに興味本位の部分が全くないって訳じゃないだろうが顔を見るに大部分は心配から聞いてるんだろうな。そんでもってそれは多分春人もだ
こいつらは正反対のところが多いけど似てるところも同じくらいある。それに揃って優しい奴なんだよな
響とはいつまで今の関係を続けるのかだったけか
「あー。いつまで続けるかは正直なところ決めてないな。まぁ、多分悪いことにはならないだろうから心配するな」
予定を変更して今決めたばかりだからな。当然どうするかなんて考えてはいない
とりあえずはあいつ次第だな。さっきみたいに冷たくあしらってあいつが俺に飽きて別れてれれば1番いいんだけどな。そうすれば直ぐにでもいつも通りの関係に戻すつもりだ
けど変なところでズレてるからどうはるかわかんねぇんだよな。それに正直面倒だから俺の方も長続きさせられる気がしねぇ
それに飽きさせるのが無理だったらあいつのズレをなんとかしないとなんだが、俺にはどうすればいいのか検討もつかない
なのに相談できる奴がいないのが問題だ。いやそれは違うな
本当は1人だけいるにはいるんだよな。ただあいつに相談すると色々見透かされて俺と響の間に何があったか余計なことまでバレそうなんだよな。さすがにそれは勘弁だな。穴があったら入りだいどころか羞恥心から逃れる為に自分で穴を掘るくらいには嫌だしな
まぁ、あいつの事だから何も言わなくても色々察するかもしれねぇけんだけど。でもバレない可能性は少しでも高い方がいい。主に俺のメンタル的なHPの意味で
けど響のズレはかなり分かりづらい。そんでそれを上手く伝えるのが難しいんだよな。そうなると俺1人で考えないとだけど、上手くいい案が見つからねーから堂々巡りになる訳で
ったく本当に面倒くせぇな。なんで俺がこんな面倒な事を考えねぇといけねぇんだよ。あーだりい。もう今日は考えるのはやめよう。明日の俺よ頼んだ
「あ、あの駆君。もし悩みとかあるなら出来ることなら話してくれないかな」
どうやら秋人は俺が思っていたよりもずっと鋭そうだな。俺が思考を諦めたタイミングで声をかけてきた
「力になれる事は少ないかもしれないけど誰かに喋るだけでも結構ましになると思うから」
うん。気持ちはありがてぇんだけど。喋る事自体がアウトだからむりなんだ。いや本当に気持ちはありがたいんだけどな!
「駆君何か悩みがあるの?秋ちゃんの言う通り喋るだけでもマシになると思うし、もし本当に辛かったら頼ってよ。友達でしょ」
俺は人を見る目がないからあんまりわかんねぇけどそれでも多分こいつらはいやきっといい奴だって信じたくなってくるな。いや本当にいい奴でいい友達なんだよな。けど
「ありがとうな。でもまぁ、こればっかりは自分で俺がなんとかするさ。心配してくれて嬉しかったぜ」
さすがに内容が内容だからきついしな。俺は自分から精神的なHPをゼロにする気にはなれねぇからな
「そっか分かった。」
「え、えっとごめんね駆君。無理に聞き出そうとした訳じゃないから話したくなったら話してね。」
「はは。分かってる大丈夫だ。」
本当にいい友達に恵まれたな
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