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咲良と生徒会のゆかいな(?)日常/本編その後 01
朝日が新しく生徒会長になってから、校内では新しく生徒会に加わった咲良と朝日の話で持ち切りだった。
これは、昼休みに裏庭で話をしていたモブ生徒二人の話。
「朝日が生徒会長って、みんなやっぱそこまで驚かないよな」
「なー。だって俺最初の選挙で朝日に票入れてたし」
「俺も。でもこの間の指名制は咲良に入れたよ」
「あ、俺も。だってさ、生徒会長になった咲良に命令されてみたいよな」
「分かる。エロいやつな」
生徒二人がベンチに腰掛けながら少々下品な話していると、ベンチの裏からにゅっと人影が現れるのだ。
「お前達・・・、何だその話は・・・」
生徒二人は後ろを振り返ると、びくっと肩を震わせた。
そう、どこから現れたのか、いつからそこにいたのか、元生徒会長である那智の影が、二人を覆うのだ。
「っな、那智先輩・・・?!ち、違うんです・・、下心とか、そういう訳じゃ・・・」
那智はかつて、咲良に声をかけている生徒を脅していた。
否、この二人も例外ではない。とても頭の良い那智も、二人を脅したことはもちろん覚えていた。
「お前達・・・」
あくまでも"元"生徒会長ではあるが、現生徒会役員であることには変わりはないのだ。
以前のように退学にさせるぞと脅されることはないだろうが、那智に怒られることを観念した二人はごくりと喉を鳴らすと、那智からの言葉を待つのだ。
二人をじっと睨む那智は、がしっと二人の肩を掴むのだ。そして、二人が身構えた時だった。
「分かるぞ・・・!!俺も咲良に命令して欲しい・・・!」
あの、かつて自分達を脅すほど咲良に陶酔していた人物が、今では咲良に命令して欲しいなどと言うなんて。
そんな那智の力強い言葉に、二人はぽかんとするのだ。
そしてそんな二人をよそに、那智は続けた。
「ま、命令はされないが、俺は咲良には怒られることの方が多いな」
「・・・え、那智先輩が咲良に怒られるんですか・・・?」
「ああ。ただ俺は会話をしているだけなのに、余計なことを言うなと、よく怒られるな」
「へ・・・、へえ・・・?」
「顔を真っ赤にしながらな」
「真っ赤・・・?!なんで・・?!」
「後はバカともよく言われるな」
「な・・・、那智先輩に・・・?!」
「ああ、ポカポカ叩かれながらな」
「ポ・・・、ポカポカ・・・?!」
「俺もポカポカされてえ・・・」
二人の反応を見た那智は得意気に笑っている様子だ。
「あとこれは生徒会だけの特権だがな・・・」
那智は二人の耳に顔を寄せると、小さく呟くのだ。
「・・・そこにいるだけでエロいんだ、咲良は」
その話を聞いた二人はうんうんと頷いた。
「分かる。俺も去年委員で咲良の隣に座ったら、その日すっごく熱い日で首汗かいててめっちゃエロかった」
すると那智は得意気に笑うのだ。
「ふ、お前らは話が分かるな。・・・特別だ。生徒会役員しか知らないことを教えてやろう」
「せ、生徒会役員しか・・、」
「知らないこと・・・?!!」
二人はごくりと喉を鳴らすと、那智からの言葉を待つのだ。
「咲良はな・・・」
二人に緊張の汗が流れる。
そんな二人を見る那智は、ゆっくりと口を開くのだ。
「咲良はな・・・、全身ツルッツルなんだ・・・・・!」
そんな力強い那智とは反対に、二人は少し冷めた様子だ。
「それは・・・、見てたら分かるよな?」
「ああ。半袖になってるとこも見るしな」
そんな二人に那智は呆れ返り、首を振るのだ。
「お前達・・・、俺の話を聞いていたか?」
「俺は"全身"、と言ったんだ。・・・つまりは、分かるな?」
「・・・ま、・・・まさか、」
那智の含みのある言い方に、二人は固唾を飲んだ。
そして那智は口角を上げるのだ。
「・・ああ。そのまさかだ・・・。全身、ということはな、つまりはパイパ・・」
「ンなわけあるかバカ・・・ッッ!!!!」
那智同様にいつからいたのか、どこから現れたのか、顔を真っ赤にした咲良はツカツカと那智の目の前まで来るのだ。
バカっ、バカっ、と那智をポカポカと叩くと、その間、那智は何だか幸せそうだった。
咲良は朝日に言われ、ふらっといなくなった那智を探しに来ていたのだ。咲良は那智を見つけるも、那智が他生徒と話をしている最中であることから、物陰から那智の様子を伺っていたのだ。
そしてめちゃくちゃ那智をポカポカした咲良は、くるっと二人に振り返った。
「ぱ・・・、パイパン(小声)じゃないから・・・!!」
そう二人に言う咲良は耳まで真っ赤にしていて、へにゃへにゃな那智の首根っこを掴むとこの場を去って行った。
咲良に引きずられている間、那智は二人にドヤ顔をかましていたのは言うまでもないだろう。
そして、咲良と那智がいなくなった後に二人はふと思うのだ。
ーー何で咲良がパイパン(?)なことを生徒会は全員知ってんの・・・?
後に咲良は生徒会全員と寝ている、という噂が立ったのは、また別の話。
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