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逆愛Ⅲ《洸弍side》2

30分ぐらい経っただろうか。 時計を見ると18時を回った頃だった。 大空が帰ってきた。 「よぉ、大空」 「洸弍先輩っ」 買い物袋を持っている姿にムカついた。 俺に嘘ついて買い物してやがったのか。 「お前今日何してた?」 「あ…、誠とカラオケ」 「だよな?天野とカラオケ」 大空の顔を覗き込んで、目を合わせた。 軽々と嘘をつく姿にも苛立ちが増した。 「俺は今日その天野と一緒にいたんだよ」 「え?」 大空は驚きを隠せない様子だった。 そりゃそうだろう、嘘がバレたんだから。 「俺の誘い断って嘘までついて、お前何処にいたんだよ」 「すいません、嘘ついて…」 「別に。お前の嘘のおかげで今日天野と仲良くなれたし」 天野に言われた通り、大空が嘘をついた理由を聞こうと思った。 「で、お前は何の用事があったんだよ?」 「あ、竜と…」 「竜?…あぁ、帝真か」 雨月の弟でJEESのボーカルの帝真竜。 そういや、大空と帝真は同じクラスで仲が良い。 大空が引っ提げてる買い物袋のブランドが、俺の好きなブランドと同じだった。 ああ、そうか―… 「なるほどな。…お前の好きな奴って帝真なんだろ?」 「え?」 大空は叶わぬ恋をしてるって言ってた。 帝真は雨月のことが好きだから、だから片想いってわけか。 俺に隠す必要なんてないのに、何で嘘ついたんだよ。 「あいつ雨月のこと好きだもんな。叶わぬ恋なわけだ」 「いや、違…」 「別に隠す必要ねぇだろ。誰にも言わねぇし」 大空の言葉を遮ることしか出来ない。 帝真を好きだと言われたら、俺はどうなるか分からないから。 大空の意見なんて受け入れてやらない。 「お前、俺と帝真を重ねてんだろ?髪だって同じ青色だし、体格だって似てるし」 「重ねてないですよ!」 「俺だってお前を綾くんと重ねてるわけだし、お互い様だろ」 俺は昔から綾くんが好きで、 大好きで苦しいのに、 大空のことを考えてる方が苦しい。 「この前目隠し取ってお前とヤッた時、別にお前じゃなくてもいいと思ったし」 「どういう意味ですか?」 帝真に嫉妬して、強がってる自分に嫌気がさす。 悔しいから、お前のこと好きだなんて言えない。 強がるしか出来ない。 「誰だっていいんだよ。お前でも天野でも抱いてくれるなら誰でもな」 こんなことが言いたいんじゃないのに。 こんなこと言ったら、余計に大空に嫌われる。 「天野優しいしな。冷静だし、単純なお前とは違…」 俺が話している途中で大空は部屋の鍵を開けて、俺の腕を掴んで中に引きずりこんだ。

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