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逆愛Ⅳ《ルイside》1
雨が止まない。
心の中でいつも雨が降っているような感覚がする。
晴れることの無い空。
いつまで降り続くのだろうか。
「アアッ!ん…」
学園の寮で、誰かが喘ぐ声がした。
声のする部屋は、私のクラスの嵐の部屋。
2時間程前に、嵐の部屋の前にいた洸弍くんと会話をした記憶が甦った。
彼らは生徒会が同じだが、仲が悪いと噂になっていたはず。
そういえば、
最近二人が学食で食事をしているのを見かける。
仲が悪いというのは、昔の話なのだろう。
このドアの向こうから聞こえる喘ぎ声が、そう物語っている。
洸弍くんを初めて見た時、すぐに愁弥さんの弟だと分かった。
白い肌、綺麗な顔立ち、声、全てが愁弥さんと重なる。
だからなのか、
「ルイルイ!今日って出張はFI学園だけっすよね?」
「ええ。今日の16時から18時までです。会議が終わったら電話してください」
「了解!」
嵐が神威綾という人物と重なってしまう。
あの明るさ、背丈、ポジティブな性格が似ている。
高校時代を思い出す。
愁弥さんは手に入らなくて、神威さんに奪われた。
またあの時の気持ちを味わうのかと思うと、苛立ちを感じた。
「失礼します」
「どうぞ」
放課後、私の書斎でもある科学準備室に洸弍くんが入ってきた。
「先月の損益計算書です。大空は今日FI学園に出張会議なんで俺が持ってきました」
「ありがとうございます。座ってください。今コーヒー入れますね」
私は経理が出来ることから、生徒会の会計の顧問と教師を兼任している。
いつもは会計担任の嵐が私の元に損益計算書を持ってくるが、今日は珍しく洸弍くんが来た。
洸弍くんは素直に椅子に座り、外を眺めていた。
外は雨が降っている。
まるで、私のようだ。
「砂糖とミルクは?」
「いりません」
コーヒーも愁弥さんと同じブラック派なのですね。
あの時と同じ辛さはもう味わいたくない。
だから私は洸弍くんのコーヒーに媚薬を入れて溶かした。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
そう言って、洸弍くんは外を見ながらコーヒーを飲んだ。
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