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逆愛Ⅷ《洸弍side》3

資料探しをして30分ぐらい経ってから、誰かが過去資料室に入ってきた。 「大空か…」 よりにもよって、会いたくない奴に会うとは。 「…お前は何の資料探しにきたんだよ」 「去年の文化祭費用のデータとか」 まぁ別に何の資料を探してても構わないけど。 『それでいいんだ?』 俺の恋は実らない運命なんだよ。 だからいいんだ。 想い出として過去を受け入れる。 ―…それしかない。 無言のまま資料探しをして2時間ぐらい経っただろうか。 俺はだいぶ前に資料探しが終わっていたから、ソファーに座りながら携帯をいじっていた。 「お前終わった?早く鍵開けろよ」 「俺、持ってないですよ鍵」 「は?じゃあどうやって入ってきたんだよ」 この部屋は特殊で、鍵が無いと入ることも出ることも出来ない。 「マサやんが開けてくれたんですよ。洸弍先輩が鍵持ってるって聞いたんですけど…」 「マジかよ…何のつもりだあの英語教師」 あいつ理事長に用事があるんじゃねぇのかよ。 ほんと、ペース崩れる。 「お前、山田雅鷹に電話しろ。開けてもらえ。じゃなきゃ出れねぇ」 「先輩が電話すればいいじゃないですか」 「俺あいつの連絡先知らねぇから」 かける用事も無いし、用事があっても担任だから毎日会うし。 ましてや生徒会の経理の担当になったから、会う頻度も増えたからな。 「俺、携帯の充電切れてるんですよね」 「またかよ。使えねぇな。携帯6年も使ってるからだよ」 まだ壊れてないとか、まだ使えるとか言って同じ携帯使ってるとか考えらんねぇ。 モノを大切にしてんだろうけど、理解出来ねぇな。 仕方ない、綾くんに聞こう。 俺は綾くんに電話をし始めた。 「あ、綾くん?いま大丈夫?」 『おう、どうした?』 「あのさー、悪いんだけど山田雅鷹の番号教えて折り返し電話くれる?」 『雅鷹の?分かった。今運転中だから少ししたらかけ直す』 「うん、よろしくー」 この前綾くんに会ったばかりだけど、やっぱり記憶無い。 綾くんもロック画面俺だったりして。 ―…あの画像は笑えない 「折り返し電話…」 携帯を切って大空を見上げると、大空は俺をソファーの上に押し倒した。 両手を押さえて、驚いている俺の唇を奪った。 「んっ…」 持っていた携帯が床に落ちる。 「…にすんだよてめぇ」 大空は冷静に言い返す。 「気まぐれですよ。気まぐれ」 あの時と同じ言葉を。 「放せよ!放っ…!!」 俺が騒ぐ度に大空は何度も唇を塞いだ。 忘れるって決めたのに。 キスひとつで抑えてた愛情が溢れてしまう。 「お前には帝真がいるじゃねぇか!」 気付くと目から涙が流れていた。 「図書室でヤッてたじゃねぇか」 「あれは…」 「うるせぇ喋んな!お前なんて知らねぇ!放せ…」 言い訳なんて聞きたくない。 もう期待なんてしない。 お前は帝真と幸せになれよ。 俺は忘れるしかないんだ。 じゃなきゃ苦しいから、 だから頼むから俺から離れて。 途端、電気が消えた。 暗い密室で、外からは雨の音。 まるでいつも見る夢のような環境。 暗い部屋、雨の降る音。 大空に抱かれ、幸せを感じる中、大空が足利槞唯に変わる夢。 暗い中、大空が俺の唇を再び奪おうとした。 本当に大空? 足利槞唯じゃなくて? 「や、め…やだ…!!」 俺は大空に押さえられた両手を必死に振りほどこうと抵抗した。 嫌だ。 もうこれ以上、苦しみたくない。

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