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第6話

あの日からなぜか莉羽は僕の家へ居候するようになった。 画面越しの推しが僕の家にいる幸せは幸せを通り越して天国だ! だけどさ…… 「お前キモイ顔してジロジロ見てくんなよクソオタクが」 「あ、はいすみません……」 「俺、にんじん食べれないから揺瀬が食べろ」 「あ、いただきます」 「俺の顔好き?」 「好きです!尊いです!毎日、拝ませて頂きありがとうございます!」 いつもこんな感じなんだけどそれなのに俺喜んじゃってるもんね〜えへへ。 でも一緒に何日間か過ごしてわかったことがある。 莉羽は人参が大嫌いで、いちごミルクが好きで、フランスパンが好き。 服装は基本モノトーンが多くて割とシンプル。 怒らせると口を利いてくれなくて、機嫌がいいと甘いものを買ってきてくれる。 ある意味分かりやすくていいのかもしれない。 あ、僕がキモイからって引かないでね? この間、ふと莉羽の耳を見た時に左耳に小さいホクロがあってそのホクロを見て可愛すぎて興奮した。僕って相当なオタクだったんだと改めて思わされた。 「あ、そういえばさ」 「はい!なんでしょうか!」 「握手会に来た日、団扇に書いてあった俺の顔、揺瀬が書いたのか?」 握手会……あーあの団扇。 「うん、僕だけど?下手だった!? ごめんね?」 「いやそうじゃない。逆だよ」 「逆か……そうだよね……ってぎ、逆って!?」 「お前いちいちうるさいな。上手かったなって言ってんだよ」 り、り、り莉羽が僕の絵を褒めてくれただと〜!? やばい、嬉しい、幸せだ。死んでもいい。 「死んでくる」 「は?なんでだよ」 「推しに褒められるこの上ない幸せ!尊いでございます!」 「……まじでオタク感出しすぎてお前キモイ」 だって莉羽が褒めてくれたのに! 推しに褒められるなんて僕は前世にどんだけいい事をしたらこんな幸せなものを分けてもらえるんだ!? 「なんで絵なの。この時代パソコンでも出来るっしょ」 「んー、この手で莉羽くんの顔を描きたくて」 「だからなんで?」 「なんでって……推しのことはあやふやにしたくないでしょ。ちゃんと僕の心を込めたかったからかな。キモイとか言わないでよ!僕本気なんだから!」 どうせクソオタクとか言うんでしょ?いいもん! 僕はクソオタクだもーんね。 「……今どき変わってるな」 「え?なにが?」 「楽さとかそんなこと考えるよりも気持ちを込めることの方が優先だなんて」 「えっと……それは……褒めてる?」 「褒めてねーよ」 「ああ……だよね」 褒めてないそう言っていたけど莉羽なりに褒めてくれたのは伝わった。

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