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「え……?」
何が起きたのか、理解出来ない。
いや、理解出来るわけがない。
今目の前で起きていることは、あまりにも、現実離れしすぎている。
犬の背中に掛かっている毛布を捲った瞬間、目に突き刺さった光。
あまりの眩しさに目を閉じて、そしてもう一度目を開き、犬に目を向けたその時、そこにいたのは“犬”じゃなかった。
辛うじて、犬の耳と尻尾があるのは見えるが、そこにいたのは、“人間”。
明らかに、人間だった。
「ぁ………」
あまりのことに、そんな情けない声しか出ない。
そんな俺をさらに追い詰めるように、その人間はゆっくりとこっちに顔を向けた。
その瞬間、俺は思わず息を引き攣らせた。
振り向いたその人の顔は、まるで生き写しみたいに、真さんそのものだったから。
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