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お疲れ様会

 啓吾が欠点をとらなかったので、今回の補習は回避された。という事で、今日は八千代の家でお疲れ様会だ。  勉強会のお礼と、自分に合わせてえっちを我慢させたお詫びにと、啓吾がピザを頼んでくれる事になった。 「なぁ、ピザ何枚要る? 結人どんくら食う?」 「ん~····レギュラーサイズだったら、1枚半くらい食べれるよ」 「結構食うね。俺、1枚も無理だわ」  啓吾が僕の頭をくしゃくしゃ撫でながら言った。 「俺も1枚は食えねぇな」 「俺も、1枚食べきれないかなぁ」  朔とりっくんも少食アピールをする。 「俺は1枚が限界だな。あと、野菜抜け。ピザにブロッコリーとか要らねぇ」 「八千代、ブロッコリー食べれないの?」 「んや、食える。けど、ピザにデッケェ野菜が乗ってんのは許せねぇんだよ」 「何その拘り。めんどくせぇな」  啓吾は文句を垂れながらも、律儀に要望に沿って注文する。結局、レギュラーサイズを4枚にポテトとナゲットをつけた。そして、ピザが届くのを待ちきれず、僕は久々の戦場に····もとい、洗浄に連れられた。今日は、ジャンケンで勝った八千代がしてくれるらしい。 「ねぇ、そろそろ自分でできるかなって思うんだけど····」 「は? 俺らから楽しみ奪うつもりか。ふざけんな」 「えぇ~····。んぅー······わかったよぅ」 「よし。しっかし、落ち着いてやんの久々だなぁ。じっくり丁寧にヤッてやるからな」 「八千代、変態っぽい····」   「目の前に、こんな可愛いケツあったら余裕で変態にもなるわ」  もう、何を言っているのかわからない。 「んっ、八千代····やっ、ローション冷たい····」 「んでそんなビクビクしてんのか。わりぃ。あっためてやるからな」  八千代は、ローションの容器をお湯につけ、掌でまた少し温めてから使うようにしてくれた。 「ん····八千代····もうベッド行こ? もう、欲しいよぉ····」 「ふはっ。ずっとヒクヒクしてんもんな」 「もぉ、立って····らんない······」 「限界か。つーか、そろそろシャワーだけだと寒ぃよな。次から湯沸かしてやるからな」  なんだか、いつも以上に至れり尽くせりだ。 「ん····ありがと。八千代優しいね。大好きぃ」 「ん、俺も。ほら、来い。連れてったる」  八千代はサッと片付けて、僕をひょいと抱き上げると、大きなタオルで(くる)んでベッドへ運んでくれた。 「まーた、今日もデロデロだなぁ」  啓吾がニマニマしながら言った。 「そろそろ寒くなってきたから、次から風呂沸かすわ」 「そうだね。ゆいぴが風邪なんかひいたら大変だもんね」 「次から、結人を引き上げに行く奴が居た方がいいな。そうだ、バスローブとか要るか?」 「おぉ、そうだな。朔、頼んでいいか?」 「任せろ。明日持ってくる」  朔と八千代は、いつも勝手に話を進めては2人で完結させてしまう。この2人は特に、金に物を言わせている所がある。金銭感覚が少しズレているのだろう。が、当人たちに、全然そんなつもりが無いところが厄介だ。  そして、これを僕のお尻を解しながら話し合っている。口を挟む余裕が無い。けど、これは少し過保護が過ぎるのではないだろうか。僕は、必死で口を挟む。 「んっ····待ってぇ。皆、ちょっと過保護過ぎるよぉ。僕、甘えっぱなしになっちゃう」 「いいの! 俺らは結人を甘やかしてんのが幸せなの」 「啓吾····けど、このままじゃ僕、ダメ人間になっちゃうよぉ」 「ゆいぴはさ、真面目だし頑張り屋さんだから、ダメ人間にはならないよ。大丈夫。ダメ人間になっても俺が世話するし。しまくるし」 「そうそう。結人だって色々頑張ってんだから、俺たちの前では甘えっぱなしでいてよ」 「でもぉ····」 「これでいいんだよ。言っただろ? デロッデロに甘やかすって」 「んんっ······んー····? んあ、言ってたねぇ······」 「俺たちは、結人を甘やかしてんのが好きなんだ。お前が笑ってくれるだけで、この上なく幸せな気持ちになる。だから、何も気にせず甘やかされててくれ」 「朔····やめてぇ。恥ずか死しちゃうよぉ····」 「結人死なないで。朔のこういう所、いい加減慣れて? この先もたぶん、ずっこの調子だぞ」 「ゔー····難しいよぉ」 「場野、結人と大畠は何言ってんだ?」 「あー····たぶんだけど、お前がくっせぇセリフをポンポン吐くから、結人が恥ずかしくて死にそうだつってんだよ。」 「お····そうか。わりぃ」  ──ピンポーン  ピザが来た。が、それどころではない。解し終えた八千代が僕のナカに入ってきた。丁度、受け取りに行った啓吾が、玄関を開けたタイミングで。 「ん゙あ゙ぁっ····」  ずぬぬと一気に奥まで挿れたものだから、声を我慢できなかった。咄嗟に口を塞いだが、既に手遅れだろう。 「んッ、ふぐぅっ····待っ、はぁんっ····」  八千代は容赦なく突き続ける。見かねた朔が、僕の口を塞いでくれた。 「んん····んーっ····ん゙っ」   「声出せよ。ほら。いつもみたいに、可愛く()け」  まだ、啓吾がピザを受け取っているだろう。扉が閉まる音が聞こえない。 「だっ、めぇ····やだぁ····」 「ほら、イケ」 「ん゙ん゙ん゙~~~っ!! んお゙ぉ゙っ」  奥を突き上げられ、八千代の言葉に従ってイッてしまった。数秒後、ドタドタと部屋に戻ってきた啓吾が喚いた。 「おい、場野! なんつー声出させてんだよ! 配達の兄ちゃん、手震えるわ赤面するわ、めっちゃ勃ってたぞ!」   「ははっ、童貞かよ。」 「お前、ホント性格悪いのなぁ····」  八千代は、腰を打ち付け続けながら笑っていた。啓吾は呆れながらも、ピザをテーブルに広げている。良い匂いだ。早く食べたい。 「ピザ来たし、食うか。んし、イクぞ」  八千代がピストンを速める。奥の扉をゴツゴツ叩くが、なかなかその先へは挿れない。しつこく奥を叩き続け、最後の一突きでこじ開けたそこに大量の精液をぶちまけた。 「やっ、お腹····奥、あちゅいぃ····」 「ゆいぴ、色々エロいこと言うようになったよね。ホントちんこ痛い····」 「そうだな。場野の所為だな」 「あぇ····食べる前に挿れる?」 「結人が食欲より性欲選んだぞ!? やべぇな」 「お、ビックリした····。大丈夫だよ。ゆいぴ、先に食べな? 俺らの相手してからじゃ食べれないでしょ? 冷めちゃうよ」  ほら、皆はいつだって僕を優先してくれる。僕だって、そうしたいんだ。 「でも、おちんちん痛いんでしょ? 大丈夫なの?」 「結人がこれ以上、煽らなかったら大丈夫だ。熱いうちに食え」  朔が真面目な顔で言った。が、それは単に、己の昂りを抑えようと眉間に皺が寄っているだけなのだろう。  けど、りっくんがピザを差し出してきたので、渋々食べることにした。  少し時間が経つと、朔もりっくんも落ち着いたようだ。すっごく大きな深呼吸をしていたけど、あまり触れないでおこう。 「そういや明日、HRで文化祭の出し物決めるんだよな? 楽しみだなぁ」  啓吾が、リスみたいにピザを頬張りながら言った。それをりっくんが注意する。 「啓吾、口いっぱいで喋んなよ。汚いでしょ」 「んっ、わりぃ」 「出し物も楽しみだけど、今年は皆と一緒に文化祭楽しめるよね。去年は独りぼっちだったから、つまんなかったんだ」 「······は? なんで? 莉久と一緒じゃなかったんか?」  八千代が驚いた顔で聞いた。 「りっくんは中学の時から、毎年女の子に拉致られてるよ」 「変に断ってゆいぴと一緒に居たら、ゆいぴに迷惑かけるかと思って····。けどまさか、独りだったとは思わなかった····マジか······本当にごめんね?」   「りっくんが気にする事じゃないよ。僕が友達居なかっただけだし」 「俺はそもそも、学校行ってなかったからなぁ。くそっ····結人がぼっちとか許せねぇな」   「けど、結人が俺ら以外の奴と回ってたってのも嫌だろ」  朔が複雑な表情で、謎に憤っている八千代を宥める。 「それは言えてる。よし。とにかく! 今年は結人を絶対1人にしない。これ皆で協力しないと無理だからね? んで、全員で結人を守ること!」  啓吾がなんだか意気込んでいる。 「僕を何から守るの?」 「不埒な輩だな」  朔が真面目な顔で言った。 「不埒なって······文化祭だよ? 僕、危険な目に会う予定無いよ····」 「外部からの客も来んだろ。お前、目ぇつけられやすいんだから、絶対俺らから離れんな」 「ゆいぴは俺らに絆されてから、可愛さに加えてエロさも増してるからねぇ。気をつけないと、本当に危ないよ」   「心配しすぎだよ~。僕、こう見えても男だし····。え、男だよ? 何回も言ってるけど、自分の身くらい守れるもん」  皆、僕を頼りないと思っているのか、心配性が過ぎる。それに、これ以上、僕がモテるわけがない。至って普通の男子高生なんだから。 「お前、何の為に俺らが毎日送り迎えしてると思ってんだ」 「え、ちょっとでも長く一緒に居るためじゃないの····?」 「それもあるけど、違ぇだろ。危ねぇからって言っただろ」  これは、八千代から真面目にお説教されるヤツだ。こうなると少し面倒だな····。 「皆さ、危ない危ないって言うけど、何がそんなに心配なの?」 「これだよ~。結人は毎回こうだもんな。ホント学習しないっつぅか····欠片でもいいから危機感持ってね」  啓吾に諭されてしまった。なんだか、納得がいかない。 「皆が僕に手出すのが早かっただけでしょ? ナンパとかされたとしても、すぐにどうこうなるわけじゃ····」 「香上に襲われたよね。凜人さんにも手ぇ出されたんだよね? 千鶴さんにも目ぇつけられてたよね。ゆいぴ、もっと自覚持ってね。最高に可愛いんだよ。天使なんだから。んで、えっちなんだよ。俺らが弄る前から快感に弱すぎるし。はぁ~····よく今まで無事だったよね」 「それは····、言い返す言葉もありません」  りっくんの指摘がド正論過ぎて、何も言い返せない。僕って、そんなに危険に晒されてたんだ····。 「まぁ、そんなにいっぱい言ったら、結人泣いちゃうぜ? ほらぁ、目ぇ潤んでるじゃん。莉久はいっぺんに言い過ぎ~」  啓吾は僕の頭をポンポンして、優しく撫でてくれた。   「あ、ごめんね。ゆいぴ、泣かないで? 俺が言い過ぎたね。あぁ~····泣いちゃった?」 「な、泣いてないよ。····大丈夫。僕の危機感の無さが原因なんだから。もっと気をつけるね。それで、みんなから離れないようにするから······」  皆に心配ばかり掛けて、自分自身すら守れない。そんな自分が情けなくて、ポロッと落ちてしまった涙を、なんとか飲みこんだつもりだった。  しかし、みんなに頼ると口にしたら涙がポロポロ零れてしまった。情けないやら申し訳ないやら、僕は男としてダメダメだ。そう思うと、涙が止まらなくなった。  りっくんは、僕の頭をきゅっと優しく抱き締めてくれた。温かくて良い匂いで、心がほわっとして少し落ち着いた。  りっくんの腰を抱き返すと、さらに心が軽くなる。耳を澄ませ心臓の音を聴き、言い知れぬ幸福感に包まれる。 「りっくん····生きてる」 「えっ、そりゃ生きてるよ。どうしたの?」 「僕ね、皆にギュッてしてもらう時、だいたい胸に埋もれるでしょ。心臓の音がよく聞こえてね、凄く落ち着くんだ。あぁ、僕は皆と生きてるんだなぁって」  自分でも、突然何を言っているのかと思った。だけど、僕が幸せだと感じた事を、ひとつでも多く皆と共有したかった。   「ゆいぴ····。俺たちずっとゆいぴと生きてくよ。もう、離してあげれないからね」 「ん。僕も離れられない····」 「お前ら、いつまでやってんだよ」  りっくんが八千代に足蹴にされた。奪い取るように、僕は八千代の膝に乗せられた。 「いってぇな! 邪魔すんなよ」 「うるせぇ。とっとと結人の服整えろ。そろそろ結人送んぞ」 「あ、もうそんな時間か····。早いなぁ」  結局、えっちはおあずけのまま。僕は八千代に送ってもらい、今日も無事に帰宅した。この平穏が、皆の並々ならぬ努力と気遣いの上で成り立っているのだと自覚し、ひたすらに申し訳ない気持ちで打ちひしがれた。

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