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文化祭、終わっちゃったね

 結局、皆が僕から片時も離れなかったからか、あれから灰田高校の人は何もしてこなかった。  そして、僕たちは後夜祭の花火を見る為に、誰も居ない校舎に忍び込み、特等席となるべく準備室へ来た。 「花火、もうすぐかな。ここからちゃんと見えるかな? へへっ、楽しみだねぇ」 「そうだねぇ。ゆいぴ、ソファに手ついて、お尻こっち向けて?」  りっくんが僕のお尻を弄り始める。そして、啓吾に胸を弄られながら、執拗にキスで口を犯される。外なんて全く見えない。 「ん、けーご····ふぇ······」 「啓吾、ゆいぴ外見えないじゃん」 「ぉあ、ごめん。始まったら退くから」 「ゆいぴ、挿れるよ。嫌だったら言ってね」  やっぱり、僕がどう犯されたのか聞いているんだね。八千代と同様、後ろからするのを躊躇う。けれど、上書きするかのように、あえて後ろからするんだ。 「嫌じゃないよ。後ろから、ね、好きだから、シて····」 「もう····あんま煽んないで。今日は優しくしたいから」  りっくんが入ってくると同時に、花火が打ち上げられた。彩りに富んだ光が窓から差し込み、僕たちの情事を不規則に照らす。  花火を見たかったはずなのに、八千代と朔のおちんちんを手で扱き、啓吾のを一心不乱にしゃぶった。僕は文字通り、皆を独り占めした。  勿論、五十嵐に犯された事は心に深い傷を残した。けれど、今こうしていられるのは、皆に愛されている自信があるから。皆が僕を選んで、今もこうして居てくれるから。  そう思ったら、もっともっと皆が欲しくなった。溶けて混じり合ってしまいたいくらいに。 「ん····結人、手ですんの上手くなったよな」 「そうだな。すげぇ気持ち良い。視覚的にもヤバいな」  八千代と朔が気持ち良さそうにしてくれている。2人とも、気持ちが良いと眉間にシワが寄る。その表情(かお)が凄くえっちで好きだ。 「しゃぶんのも上手くなったよな。俺の好きなトコ、ちゃんと覚えくれてるもんね」 「ゆいぴは、俺のイイ所もちゃんと覚えてくれてるよ。ゆいぴからの愛情、感じるよねぇ」 「んっ、らって、みんあいも、ひもひよふあっへほひぃはや」 「あはは。結人、咥えながら喋ったら何言ってっかわかんねぇよ。あとイッちゃうって」 「あー····花火綺麗だ····な······待って?」 「ん~? 莉久、どしたの?」  啓吾が無関心げに聞いた。 「ゆいぴが花火見れてない」  りっくんの一言で、皆が一斉に停止した。そそくさと離れ、僕を囲むようにソファに座る。りっくんのは入ったままだけど。 「莉久、抜けよ」 「ヤダよ。動かなかったら、ゆいぴも見れるでしょ」 「八千代もりっくんも揉めないで? 僕、見えてるから良いよ」  動かないと言いつつ、時折奥をグリッと抉る。 「んっ····あ······へへっ。花火、キレーだねぇ」 「キレーだな。なぁ結人、来年も一緒に見ような」  八千代が僕の頭を撫でて言った。 「うん。皆で見たい。来年も、ここで一緒に見たい」  感極まって涙が溢れたのは、花火があまりにも綺麗だったからだ。 「結人、泣くなよ~。ホント泣き虫だねぇ。あぁ~可愛いなぁ」 「花火がね、綺麗で勝手に涙出ちゃったみたい····」 「ゆいぴは心が綺麗なんだよね」  そう言って、りっくんは後ろからぎゅっと抱き締めてくれた。その拍子に奥を抉る。 「んあっ····急に動いたらイッちゃうよぉ······」 「はは。ごめんね。花火終わるまではこのままね」 「ん····花火見たかったけど、いいよ。動いて? もっと、いっぱい気持ち良くして?」 「あはは。もう······ゆいぴ、欲しがりさんになっちゃったなぁ」  なんて言いながら、りっくんは容赦なく突き始めた。 「再開ってことでいいかな。結人、俺のもっかい咥えて?」 「うん。朔のと八千代のもしていいの?」 「ダメって言うわけねぇだろ。無理はしなくていいからな」  朔が僕を気遣ってくれる。本当に優しいんだから。 「腕、怠くねぇか?」 「ん、らいおーう。れひうお(大丈夫。できるよ)」   「結人、おっきくあーんして。莉久に合わせて、奥までいくからな」 「ふぅっ····あっ······待っ、おごっ、あ゙っ、がはっ······」 「ゆいぴ、めっちゃ締まるね····。ホント、ドMだよねぇ。苦しいの好きだもんね。啓吾、奥抉ってみて」 「ぐぇ゙っ、ゴホッ···あ゙っ、がっ、お゙ぇ゙ぇっ····」 「あー····めっちゃ締まる。奥やばいよコレ。ダメだ、イクよ。奥にぶち撒けるからね。ちゃんと飲んで、ねっ」   「俺のも、奥に流し込んでやるからな~。しっかり飲め、よっ、んんっ」 「ゔぅっ、ん゙ぉ゙っ····ん゙ん゙ぅーっ」  途中から余裕がなくなって、八千代と朔のを扱けていなかった。だから、2人は僕の耳で遊んでいた。自分のを扱きながら、耳元でワザとえっちな声を漏らす。わざわざ『イクッ』と報告までしてくれた。そして、最後は僕の顔にかけて終わり。  啓吾とりっくんには、上も下も挿れられてまるで串刺しにされているようだった。こうなってしまうと、いっぱいいっぱいで頭が真っ白になる。息が出来なくて死んでしまいそうになりながらも、それすら快感へと繋がってゆく。思考なんて止まりっぱなしだ。  えっちが終わる頃には、花火はとっくに終わっていた。いつ終わったのかすら知らない。結局、見たのはほんの数発で、けれど僕はそれよりも美しいものを見た。  僕を見下ろす皆の恍惚な表情が色鮮やかに照らされる。それはそれは綺麗で、停止した思考の中でぼんやりと、芸術作品を見ているような気分になった。  こうして文化祭は、僕たちに起きた事件など露知らず、花火が散ると共に大盛況のもと幕を閉じた。     「ゆいぴ大丈夫? 帰れそう?」 「うん。だいぶ落ち着いたよ」 「塀越える時は誰かが抱えたらいいだろ」  朔がさらっと悪いことを言う。と言うのも、僕が平静を取り戻すのを待っている間に、とっくに学校は施錠されてしまったのだ。帰るには、塀を超えて抜け出すしかない状況だ。 (僕、どんどん悪い事を経験していってるな。大丈夫かな····)  窓から校舎の外に出る。泥棒のようにコソコソと。  正門と裏門の方には防犯カメラがあるので、校舎の影になっている塀を超える事にした。そこの塀は僕の身長よりも少し高く、僕一人では到底越えられない。  何か踏み台になるような物を探さなくては。そう思ってキョロキョロしていると、タタタッと走り出した八千代が、ふわっと塀を飛び越えた。  僕が驚き口をパクパクしていると、朔が僕を抱き上げてくれた。塀を越えると、外では八千代が受け止めてくれた。  残された3人はどうするのかと思っていたら、3人とも八千代と同じように、軽々と塀を飛び越えてきた。 「なっ、皆、なんでそんなの飛び越えられんの!?」 「え、これくらいなら······ねぇ?」  りっくんが、申し訳なさそうに言って頬を指で掻く。 「なんだ。カッコ良かったか?」  朔が意地悪な顔をして聞いてきた。僕は、八千代の腕に埋もれて答えた。 「カッコよすぎるよぉ····」 「ははっ。結人照れてる~」  啓吾に揶揄われてしまったが、そんなのどうでもいいくらいカッコ良かった。あんな事ができるのは、ドラマや映画の中の人だけだと思っていた。  この胸の高鳴りを抑えようと深呼吸をしたけど、皆の顔を見るとカッコイイ場面ばかり思い出してしまう。もう、まともに顔も見られない。 「ん? なんかお前、熱くね?」  八千代が、僕の首を触って驚いている。 「ぅえ? そんな事ないと思うけど。皆がカッコ良かったから、すっごいドキドキしちゃって····」 「いや、お前これ熱あんだろ」  八千代は、何度も額や頬をペタペタ触って確かめる。 「えー、そんなわけ····」 「ゆいぴ、おデコ······。······ホントだ。熱っぽいね」 「急にどうしたんだ。やっぱ、どっか調子悪かったのか?」  朔が凄く心配そうな顔をしている。あわあわしているのが、なんだか可愛い。 「ううん。はしゃぎ過ぎて、疲れちゃったんだと思う」 「ゆいぴ、小さい時から遠足の後とか、たまに熱出してたもんね」 「うん。今日、すっごい密度高かったからかな。たぶん寝たら大丈夫だよ」 「とりあえず、送ってくわ。朔、タクシー呼んでくれ」 「おう」  朔が呼んでくれたタクシーを待つ間、朔と啓吾が飲み物や薬、冷却シート、ゼリーとプリンなんかも近くのドラッグストアで買ってきてくれた。 「こんだけあれば、今夜は大丈夫かな。明日の朝は、俺がゆいぴの様子見に行くから。俺だったら、おばさんも変に思わないでしょ」 「そうだな。頼むわ。送んのも莉久が行け。俺らじゃ結人の母さんがビックリすんだろ」 「おっけ」  りっくんと八千代が話しているのを、啓吾の膝の上で聞いていた。 (僕の為に、テキパキ動いてくれるの凄いな。同い歳とは思えないくらい、みんな頼りになるんだから······)  僕だけ、本当に子供みたいで情けない。もっと、精神的に成長しなくてはと、少し焦りを感じた。 「はぁ····、文化祭終わっちゃったねぇ。最後の最後まで皆に迷惑かけちゃった····」 「なんかさ、行事が終わった時って物寂しい感じするよな。なぁ、俺らさ、結人のこと心配はしてるけど、迷惑とは思ってねぇよ。1回も思った事ねぇわ」 「そうだよ。ゆいぴはもっと迷惑掛けてくれてもいいくらい。気ぃばっか使ってさ。もっと俺らに甘えて欲しいんだけど」 「そうだよな。まだまだ甘やかしたりねぇな~」 「これ以上、甘やかされたら····、僕、ホント、ダメに······」 「結人、寝たのか? これ、冷却シート貼っとくか?」 「そうだね。朔、貼ったげて」  りっくんが僕の前髪を上げ、朔が冷却シート貼ってくれた。 「ちべたっ······冷た、いの、気持ちぃー····」 「ふはっ。可愛いなぁ。····ゆいぴさ、“今”が幸せで大切で、失くすのが怖いんだろうね。ずっと気ぃ張ってたみたいだし」 「何も心配する事なんかねぇのにな」  八千代に、そっと前髪を撫でられた気がした。後ろには啓吾の温もりがある。薄ぼんやりとした意識の中で、愛しい感覚が膨れ上がっていく。  どれくらい経ったのか、タクシーが来たのでりっくんに抱えられて乗り込んだ。皆が心配そうに見送ってくれたのが、薄らと記憶にある。    ぼーっとしたまま、りっくんに連れられて自室に帰った。  僕が眠ってしまう前に着替えさせてくれて、プリンを食べさせてくれた。水分補給はこまめにするように言われて、絞り出すように返事をした。りっくんによるとこの時、熱は38度を超えていたそうだ。    これは余談だけど。沢山寝て、翌日には熱も下がっていた。  朝、りっくんが様子を見に来てくれた。学校は休めと言われたが、皆に会いたかったので行くことにした。  皆、とても心配してくれていて、えっちな事は一切なしで過ごした。これは本当に珍しくて、大切されていると実感せざるを得ない1日だった。

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