62 / 384

目覚めた瞬間から

「ん····あっ····イクぅ······」 (····イク?)  お尻の快感にて、ハッと目を覚ます。横になったまま、後ろから八千代が僕のナカをこねくり回していた。 「八千代!? んっ····何してんの?」 「んー? えっち」  腰を打ち付けながら、耳元で言うんだから意地が悪い。僕が耳でイッちゃうのを知ってての悪行だ。 「ひぇっ、んぁあっ、やぁ····イッちゃ······」 「イッていいぞ。お、そうだ。結人、おはよう」  なんってイイ声でおはよう····。 「お、おは····よ······んふぅっ」 「朝から盛りやがって····。うるっせぇよ」  寝起きの啓吾は機嫌が悪いらしい。けど、髪が爆発していて可愛い。 「ん~····あ、俺も次挿れる······から······」  りっくんは昔から朝が弱い。幼稚園のお昼寝の時も、最後まで寝てたなぁ。起きるまでに何度寝かするんだ。今でも、スッキリ起きれないのかな。  なんて、2人の寝起きを観察していると、足元から朔が布団に入ってきた。 「ひあぁっ!? なっ、なに!?」  布団を捲ると、朔が僕の足の指を舐めている。指の間を舌でペロンとされると擽ったい。 「やんっ、朔、だめぇ····あっ、くすぐったい····あぁん····」  段々、擽ったいのか気持ち良いのかわからなくなってきた。八千代もぐんぐん突き上げてくる。  朔が僕の眼前まで上がってきて、前を扱き始めた。 「待って、今、イッたばっかりで····だ、めぇ······んっ、ふぅっ、んぁー······」 「ぅあ···。すっげぇ締まる。俺もイクぞ」  寝起き、布団の中で射精からの潮噴き。お尻はローションでぐちょぐちょ。早くシャワーを浴びたい。  けど、そうは問屋が卸さないんだね。 「次、俺な」 「俺、シャワー浴びてくるわ」  八千代は全裸で浴室へ向かった。そして、僕のナカには、朔の大きな朔が押し拡げながら入ってくる。 「結人、おはよう」   「ん····朔、おはよ····んあっ」  これまた、いい声でのおはよう。耳が溶けてしまいそうだ。  入口から奥まで、ゆっくりねっちょりと出し入れする。それはまるで、僕のナカをじっくりと堪能しているようだ。 「ベッドでお前におはようって言えんの、幸せすぎてやべぇ····。ちょっと激しくしていいか?」 「僕はいいけど、啓吾とりっくんがまだ寝てるよ?」 「知らねぇ。もう9時だぞ。寝てるやつが悪い」 「そんな····ひあぁぁっ」  僕に声を出させる為だろうか、ズゴンと一気に奥まで突き上げた。 「あっ、ん゙あ゙っ、んぇっ····」  寝起きだからなのか、いつもより吐き気が来るのが早い。 「朔、だめ····吐いちゃう······」 「タオル敷いてるから大丈夫だ。キツいか?」 「だいじょぶ。気持ちぃけど、声、煩くない?」 「もっと聴きてぇ」  そう言って、朔は奥を貫いた。声を聞きたいなんて、そんな恥ずかしい事を言われると出ちゃうじゃないか。 「い゙あ゙ぁぁっ、んゔぇ゙ぇ····」   「もう! お前らマジでうるせぇ! 朝っぱらから激しすぎだろ。も~~~っ、俺もヤる!」  起きるなり怒り出した啓吾が、ギンギンにそびえ勃ったモノを口に突っ込んできた。 「ん゙お゙っ、ぶぇ゙っ····ぁがっ····ぅ゙え゙ぇ゙ぇぇ」 「あ~····喉奥めっちゃ締まる。朝勃ち突っ込めんのやっべぇ····幸せすぎんだろ」 「ケツもやべぇぞ。ギチギチだ。千切れそう····」 「結人、イクぞ。吐くなよ~」 「俺も、イクぞ。奥、挿れるからなっ」 「ん゙ん゙ん゙~~~っ······ゔえ゙ぇ゙ぇぇ······ゲホッ」 「朝からゆいぴ吐かせてんじゃねぇよ。お前ら鬼畜かよ」 「お。莉久、おっはよ~」 「おはよじゃねぇよ。ゆいぴが可哀想だろ。寝起きなんだから、もっとソフトにヤれよ」 「りっくん、僕、大丈夫····おはよぉ」 「ゆいぴ、おはよう♡」  声のトーンが違いすぎる。清々しいほどに、僕には甘い。 「ここ片付けとくから、結人は大畠とシャワー浴びてこいよ。場野が浴びてるから、浴室あったまってんだろ」 「んー、あったまってんぞ。····って、大畠もヤってたんか。おーおー····。お前ら、朝から飛ばしすぎだろ」    シャワーから戻った八千代が言った。タオルを頭に掛けたままで、それがまたカッコイイのなんの。    「しっかしお前、挿れられてもなかなか起きねぇのな。危ねぇぞ」 「え。場野、寝てるゆいぴに挿れたの?」 「どんだけ弄っても起きねぇからよ。挿れたら起きんだろうと思ったんだけどな。コイツ、イクまで起きねぇの」 「あ~····俺も前に寝てる時弄ったけど、全っ然起きなかったよね。俺は起きてから挿れたけど」  そう言えば、以前りっくんが部屋に来た時にされたんだった。あれは本当にびっくりした。  確かに、挿れられても起きないのはマズいと思う。けど、だからってどうすれば良いのか······。 「結人が俺ら以外と寝るこたぁねぇと思うけど、ホント····マァジで心配が尽きねぇなぁ」 「だねぇ。ふぁ~····コンポタ飲みたい。確か粉のやつあったよね? 場野、立ってるついでにお湯沸かしてよ」 「自分でやれや」 「どうせコーヒー飲むのに沸かすんだろ? ついでに俺の分も沸かしてよ」 「しゃーねぇな。結人は、ココア飲むか?」 「飲む! 八千代が入れてくれるココア好きなんだぁ」 「だったら早くシャワー浴びてこい。美味いの入れといてやっから」  八千代が甘々だ。こんなに心がほかほかする朝は初めてだ。僕はにまにまが止まらないまま、啓吾とシャワーを浴びに行く。  部屋に戻ると、温かいココアとトーストが用意されていた。 「美味しそ~。トーストも八千代が作ってくれたの?」 「いや、トーストは莉久。俺は飲みもんだけな。サラダは朔が盛り付けてた」  なんだかんだ、全員分の朝食が準備されていた。みんなで朝ご飯なんて、こそばゆい感じがする。 「ゆいぴ、なんかご機嫌だね。寝起きえっち、そんなに良かったの?」 「え、えっちも良かったけどね。こんなに幸せいっぱいな朝、初めてだなぁって思って」 「一緒に住んだら毎朝幸せにしてやるよ。早く住みたいな」 「ぇへへ。早く住みたいねぇ」  なんてイケメンな台詞をサラッと吐くのだろうか。朔は、トーストにかぶりつきながら王子スマイルを炸裂した。口の周りにトーストの粉が付いていても、可愛さが増しただけの良い笑顔だ。   「で、お誕生日の場野くんは、何かリクエストはないのかね? 行きたいとことか、やりたい事とか」  啓吾が鬱陶しい感じのノリで聞いた。八千代はコーヒーを啜り、少し考えてから答えた。 「別にねぇ。けど、強いて言うなら····」 「なに? 何かあるの? 今日はね、八千代のリクエスト何でも聞くつもりだからね!」 「んじゃぁ····」    八千代のリクエストを聞いて、やってきたのは遊園地。真冬に来てみたかったらしい。どんな勇者だよ。 「寒いね。で、ジェットコースターに乗るの? 八千代ってやっぱりバカなの?」 「なんかわかんねぇけど、チャレンジ精神っつーか、ガキの頃から真冬に乗ってみたかったんだよ」 「へぇ~····。それにしても、八千代が遊園地って意外だね」 「だよな。自分でも意外だわ。よし、せっかく来たし絶叫系は全部回るぞ」 「嘘でしょ····。僕、絶叫系やだ······」  僕と朔は、絶叫マシンが苦手だ。なのに、どういう訳か、僕は八千代と先頭に乗っている。朔は、啓吾にチョークスリーパーを掛け、全力で拒否していた。  急降下に向けて、やかましい音を立てながら空が近づいてくる。ふと下を見ると、朔が逆ナンされていた。 「あぁっ! 朔が、女の人に声掛けられてる····」 「「「えっ?」」」  3人が下を見た瞬間、ほぼ直角に急降下が始まった。ほんの一瞬意識が飛んだ。声も出なかった。凍てつく風が顔面を突くのが痛くて意識を保てた。隣の八千代は楽しそうに笑っていて、僕はキャパオーバーで笑うしかなかった。  ジェットコースターから生還し、朔のもとへ急ぐ。 「朔!」   「ん? おかえり。楽しかったか?」 「死ぬかと思ったよ! それより朔、大丈夫?」 「見てたのか? 大丈夫だぞ。俺がお前意外に靡くはずねぇだろ」 「そうじゃないよ。すっごく鬱陶しそうって言うか、嫌そうな顔してたから、何か嫌な事とか言われたのかなって」 「ふはっ。違ぇよ。女に声掛けられんのが面倒だっただけだ。けど、ありがとな。心配してくれたんだな」 「や、別に、嫌な思いしてたんじゃないならいいんだけどね」  勘違いをしていたと気づき、途端に恥ずかしくなった。 「結人は優しいねぇ。ジェットコースター降りるなり、朔が大変かもしれない~って走り出すんだもん」 「なっ、なんで言うの!?」 「ごめんごめん。あんまり可愛かったから、朔にも教えてやろうと思ってさ」 「もぉ! 次、行くよ! 八千代、次何乗る?」 「ははっ。お前、むくれてても可愛いな。そんじゃ、お化け屋敷だな」 「や、それはホントにちょっと····やだ」 「結人、お化け屋敷入ったらマジでヤバいぞ」  また啓吾は余計な事を言うんだ。2人デートで行った、お化け屋敷での痴態を皆に晒されてしまった。おかげで皆、お化け屋敷に入るとは思えないくらいワクワクしている。 「僕を囲んでくれるのはありがたいんだけど、全く周り見えないね」 「じゃ、ゆいぴ先頭行く?」 「見えなくていいです」  八千代とりっくんが両脇で手を繋いでくれていて、啓吾が先頭、朔が殿(しんがり)を担ってくれている。 「雰囲気あるねぇ。ゆいぴ、大丈夫?」 「結人、腰抜かすなよ。誰が担ぐかで揉めそうだからな」  啓吾はケラケラ笑って軽口を叩いていたが、直後、落ち武者の奇襲に遭う。 「おわぁぁ!」  僕は、啓吾で前がよく見えないから、啓吾の叫び声に驚く。 「ひゃぁぁぁぁぁ!! なななっ、なに!?」 「落ち武者だね。啓吾、ブブッ····おわぁぁって····」 「めっちゃ気ぃ抜いてたわ。ビビったぁ」 「啓吾の声にびっくりしたんだけど。はぁ····もう出たいよぉ」 「んなに怖ぇんだったら、俺の腕にしがみついてろよ」 「でも、りっくんとも手繋いでるから····」 「絶対離さないから。場野が離せよ。んで、ゆいぴは俺の腕に抱きついてていいよ」 「俺、今日お誕生日様なんだけど」  八千代が立場を利用してきた。りっくんは仕方なく惜しみながら渋々ゆっくりと、僕の手を離した。僕は否応なく八千代の腕に抱きつく。歩きにくいけど、密着度が増したおかげで怖さは軽減された気がする。   「ねぇ、ゴールまだ?」 「知ったら絶対入んないと思って、ゆいぴには黙ってたんだけどね。このお化け屋敷、1キロ近くあるんだって」 「イ、イチキロ······戻った方が早くない?」 「そうだな。まだ100メールくらいしか進めてないもんな。けど、後戻りはできないぞ」 「そんじゃ、ちょっとペース早めよっか。結人、大丈夫? また抱えてやろっか?」  啓吾が意地悪く聞いてくる。 「大丈夫だもん! 頑張るも····んわぁぁぁぁぁぁぁっ」 「「「「おわっ!!」」」」  全員、僕の絶叫にビクッとしていた。 「ビビったぁ····。ゆいぴ、どしたの?」 「八千代の上、上に、お化け····、目玉がいっぱい····」  身長差のなせるアレだ。啓吾の顔を見ようと、顔をあげたのが運の尽きだった。天井には無数の目玉が蔓延(はびこ)っており、蒼白い手や長すぎる舌が垂れている。血走った目玉が妙に生々しくて、心臓が飛び出るかと思った。 「結人、あんなデケェ声出せんだな。俺、まだ心臓バクバクしてんぞ」 「朔、ごめんね····。びっくりしちゃって。目玉がギョロギョロ動いてて、ホントにびっくりしたぁ····」 「腰、抜けてないか? 歩けるか?」  啓吾に言われると、本当に心配してくれているのか、揶揄われているのかわからない。 「大丈夫。僕、強くなるって決めたから、お化け屋敷くらいで腰抜かさないもん」 「わぁ。ゆいぴ、かっこいいねぇ」 「ホント!?」  ぱぁぁぁっと、視界が明るくなった気がした。かっこいいだなんて、言われた事がなかったものだから凄く嬉しい。 「や、心意気はかっこいいけど、その笑顔は反則だって。可愛すぎだよ····」 「また可愛いなの····?」 「可愛いもんはしゃーねぇだろ? それより結人、次墓地だって」  啓吾が次のルートを指差して教えてくれた。 「お墓····お化け屋敷って全体的に不謹慎だよぉ····」 「あはは。確かにねぇ。」  と言いながら、りっくんは僕にカメラを向けた。 「なんでりっくんは撮ってんの?」 「手空いたから、ゆいぴの絶叫でも記録しようかと思って」  なんだか凄く悔しい。どうして皆は怖がらないのだろう。   「絶対叫ばないもん!」 「そっかぁ、頑張ってね~」  墓地に足を踏み入れ、決心なんてものは数歩で翻された。しかし、これは僕の決心が薄っぺらいとか、そういう理由ではない。  突然、啓吾がしゃがんだ。啓吾と入れ替わりに、白装束の幽霊が飛び出してきたのだ。 「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「ブハッ····猫かよ」 「ゴフッ、おまっ、にゃあって····」  八千代と朔が、僕の悲鳴を聞いて吹き出した。ピコンと録画終了の音が聞こえ、腹を抱えているりっくんが声を殺して笑っている。 「けっ、啓吾! なんでしゃがんだの!?」 「何か来るな~って思ってさ。俺が前に居たら、結人見えねぇだろ? だからさ、しゃがんでみたらさ····、んふっ····にゃぁぁって····」 「啓吾のバカァッ!」 「あ~、啓吾がゆいぴ泣かした~」 「りっくんの意地悪! 泣いてないもん!」 「ふはっ、とりあえず、ぐふっ、進もう。後ろが来るだろ」 「朔はいつまで笑ってんのさ! もう! 皆さ、自分が怖くないからって酷くない!?」 「結人····ほら」  そう言って、八千代が小道具のドクロを僕の顔に近づけた。 「ぴぁぁぁぁっ」  僕は八千代の手を離し、りっくんの腕に強くしがみついた。 「良い反応すんなぁ。けど、俺から離れんなよ」 「だだだって! 八千代がそんなの持ってるからぁ!」 「ん〜、可愛いなぁ····。さ、意地悪な場野は置いといて、俺と行こうね~」 「お前らはしゃぎすぎだろ。ここ、お化け屋敷だぞ。怖がってやれよ」  後ろから朔が呆れて言った。僕は、はしゃいでるつもりはないのだけど。むしろ、お化け屋敷を満喫させられている。 「も、もう脅かすのやめてね。普通にゴールまで行こう? まだ半分も来てないでしょ?」 「そうだな。本当にちょっとペース上げんぞ。莉久も場野も、ちゃんと結人と手ぇ繋げ。大畠は結人を怖がらせるな」 「お化け屋敷なんだから、怖がらないと面白くないだろぉ」 「怖がってんの結人だけだろ。それに、あんな悲鳴あげさせて、結人が可哀想だろ」  朔の過保護も重症だ。お化け屋敷の目的を忘れつつある。 「と、とにかく早くゴールしよう。ホントに後ろの人来ちゃうよ」  僕たちは、なんとか脱出することができた。結局、朔以外に脅かされながらゴールまで、1時間近く耐えきったのだ。二度とお化け屋敷になんて入らないと、今度こそ固く心に誓った。

ともだちにシェアしよう!