244 / 384
“あてぼり”って怖いね
啓吾から与えられた新しい快楽の激しさで、僕は少し気を失っていた。けれど、それはほんの一瞬だったようだ。
どちゅっと、鈍い衝撃がお腹に響いて目が覚めた。カッと見開いた目に映ったのは、額や首に青筋を浮かべた八千代だった。
伸びた後ろ髪を束ねている。あぁ、本気で攻めてくるやつだ。ぼんやりした頭で、そう確信した。
「大畠は遊び優先なんが温 ぃわ。なぁ? 喋る余裕ねぇくらい、イイトコ当ててやっから覚悟しろよ」
「ひぇ····」
いつもは執拗い責め方をしない八千代。僕が息を忘れるほどイクと、体位を変えて色んな所に快感をくれる。
そんな八千代が、本気で僕のイイ所を探って、そこを抉り続けるんだ。考えただけで下腹がキュンと疼く。
太くて長くて、ガチガチに硬くなったおちんちんで、結腸口の手前を突き続ける。ガン突きってやつだ。
もう出ないと思っていた潮が、また勢い良く噴き出す。
「んっとにココ好きだな。おい、あんま目ぇこすんな。腫れんだろ」
そう言って、八千代が優しく拭ってくれる。けれど、涙は一向に止まらない。気持ちイイと、勝手に溢れ出すんだもん。
「涙 れ··八千代 見えないんらもん····ひぐぅッ····ひゃっ、あっ、あ゙ぁ゙っ!! 待っ··八千代 ぉ! しょこ··なんか変ッ! やぁっ····らめぇ!」
僕の声など聞こえていないかのように、容赦なく突き続ける八千代。少しずつ擦り上げながら徐々に角度を変え、結腸口に近づき遂に奥を貫いた。
その瞬間、とても深い絶頂を迎え、シャワーの様に潮を噴き上げる。その直後、やらしい笑みを浮かべたりっくんが来て、おもむろに僕のおちんちんを握った。
そして、掌で亀頭をぐりぐりと、それはそれは執拗く撫で回すじゃないか。僕は、絶叫しながら潮を撒き散らす。
腰がガクガクと痙攣し、八千代のが奥に入っているものだから、自分で奥をグイグイこねくり回す結果になっている。最早、どこでイッてるのか分からない。
おそらく、快感が叩き込まれている箇所全てでイッているのだろう。深い絶頂と甘イキを、尋常ではない間隔で交互にし続けている。1秒も休ませてはもらえない。
僕は大粒の涙をひた流し、何度も『やめて』と懇願する。汚い嬌声に混じえて、言葉にならないような叫びで訴え続けた。
けれど、恍惚な表情で僕の痙攣を眺めるりっくんに、僕の悲痛な音吐は届いていないようだった。
「ひに゙ゃあ゙あ゙ぁ゙ぁ!!! りっくん ··もぉ゙ッ··やめ゙でぇ! 出 にゃい! イ゙げにゃい゙ぃに゙ゃあ゙ぁ゙ぁ゙ぁ!!」
「お前··鬼かよ」
あまりの執拗さに、八千代がひやりと言葉を漏らした。こんな中、奥を抉り続けている八千代に、微塵の説得力も感じないが。
2人の執拗な責めに、呼吸の仕方を忘れた僕は酸欠で吐き戻す。流石にマズいと感じた八千代が、りっくんの髪を鷲掴んで制止する。
涎を垂らしそうなほど夢中だったりっくんも、ハッと我に返り手を止めた。『目、ガンギマリじゃん。莉久やべぇ』と啓吾は笑ったが、笑い事じゃないんだよ。
僕は浅い呼吸しかできず、八千代に抱き起こされ水を飲ませてもらう。口移しでゆっくりと、僕が飲み込むのを待ちながら流し入れてくれる。
「ん··はぁ····ふぅー··」
「息、できるか?」
「うん。大丈夫 」
「うっし、続きすんぞ」
八千代が僕を横たえると、怒りを剥き出しにした真尋が声を荒らげる。
「まだヤんのかよ!? 休ませてあげないの?」
「アホか。ここで休んだら満足しねぇんだよ。よく見てろガキが」
言葉足らずな八千代に代わり、啓吾が補足の説明をしてくれる。
「結人はさ、追い込まれるまで求められたら、そんだけ“愛されてる”って実感すんの。苦しいのが好きなのはドMなのもあるけど、手っ取り早く堕ちれるからなんだと思うよ」
「あとねぇ、普段は甘やかしっぱなしの俺らが、ゆいぴに酷い事するのって相当な覚悟が要るわけ。それを押し殺して、ゆいぴにキツい事してお互いに快楽貪って、そういう覚悟··みたいなのが安心するんじゃないかな」
「結にぃを····堕とす覚悟?」
「そ。口先だけじゃなくて、色んなもんすっ飛ばした目に見える覚悟。結人って遠回しな事しても気づかねぇだろ? だからそれがないと、こんだけ愛してんのにすーぐ不安になんの。めちゃくちゃ厄介だろ♡」
啓吾とりっくんの話を聞いて、真尋が項垂れた。酷く落ち込んでいる様だ。
僕自身、今の話を途切れ途切れに聞き、そうだったのかと自分の言動を振り返った。再び八千代の甘い当て掘りをくらいながら、僕は啓吾とりっくんの言葉を咀嚼する。
2人の言う通り、皆の覚悟を見ることで、より深い愛を感じる節はあると思う。けれど、それは単純に皆の性癖や本能的なものであって、同時に僕への躾の一環なのだと思っていた。
無知な僕に、沢山気持ちイイ事を教えてくれているのだとも思っていた。それを受け入れて溺れる事で、僕が皆に縋って服従しているのだと誤想していたのだ。
まさか、僕の弱虫な心を満たす為だったなんて、そんなの全然気づかなかった。もしかして、皆に嫌な事をさせていたのかな。
「まーたお前は余計な事考えてんだろ」
八千代に見透かされ、息も絶え絶えに、至った考えを話す。突く勢いをほんのちょっぴり緩めてくれたとは言え、腰を止めないのが八千代らしいや。
「アホか。俺らがやりたくてやってんだわ。単純に、お前を潰してぇんだよ」
「ひゃうっ····」
耳元でそんな事を言われると、イッてしまうのだから遠慮してほしい。それでなくとも、八千代はいつだって話し方がえっちなのだから。
「お前もな。まーた言葉足らずなんだわ」
啓吾が嘲弄する様に言った。八千代から飛んでった枕が、顔面に直撃する。
「ゎっぷ····いってぇな!」
「テメェが喧嘩売ってきたんだろ」
「売ってねぇよ。でもお前マジでさ、結人相手に言葉足りなさすぎな。もちょっと噛み砕いて説明してやんないと、まーた勘違いすんだろ。いい加減学習しろよなー」
啓吾はおどけて言う。が、八千代は図星と言わんばかりに、苦虫を噛み潰したような顔で『うるせぇ』とだけ返した。
それを聞いていた真尋は、パッと顔を上げて言った。
「俺もさ、もっと結にぃといっぱい一緒に居て、結にぃの事知りたい。俺の気持ち、もっと結にぃにゆっくり伝えていきたい。そんで、本気で心から愛してるって想われたい」
やっぱり諦めないんだ。そう思ったのは僕だけではないだろう。だけど、今までと少し様子が違うのは、焦燥に駆られた雰囲気が削がれたからだろうか。
真尋の言葉を、皆それぞれに飲み込む。
八千代は満足ゆくまで犯しきってから、グデグデになった僕を朔に明け渡す。その時に、八千代が『もういい気もするけどな』と言った真意は分からない。
けど、朔には伝わっているようだ。晴れ晴れとした顔で『そうだな』と返しておきながら、当て掘り大会は滞りなく続行された。
先に真尋の話を聞いてあげたいのだけれど、どうもそうはいかないらしい。
待ちに待った朔が、僕に覆いかぶさって深いキスを交わしてくる。口内を、大きな舌で余す所なく舐め、奥まで犯すんだ。息をするタイミングが分からず、あっぷあっぷして朔の胸を押し返す。
ゆっくりと舌を離すと、唾液が糸を引く。それが切れる前に、再び舌を絡める。どれだけ待ちきれないんだか····。
キスだけで何度もイかされ、とろっとろに蕩けてしまう。おちんちんを挿れる為に離れる朔に、両手を伸ばして“待って”と合図する。
朔は僕を抱き締めながら、動き辛そうに挿入する。ごめんねって思いながらも、離れるのはやっぱり嫌なんだよ。
抱き締められているのと、おちんちんが入ってくるのと、両方の圧迫感が気持ち良い。そして、朔は僕の頭の上で手を組み、早々 と奥を抜いた。
耳元で、何度も『愛してる』と囁き、僕の名前を甘く呼び続ける。僕もそれに応え、朔を呼んで求め続けた。
「朔 ぅ····気持ちぃ··好きぃ♡ れももぉ··しょこやらぁ····」
「ツライか?」
「イクの、止まんにゃ··んあぁっ··おっき過 ぎぅの··お願····待っ──」
「待てねぇ」
耳元で、低声を流し込むように言う。それがとても艶かしくて、僕は心臓を握り潰されながら連続イキをして失神した。
ともだちにシェアしよう!