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ゆっくり始めようね

 誰よりも早く、僕を蕩けさせに来たのは朔。ずっと言ってたもんね。柔らかく掴んだ僕の腕を引いて膝に乗せ、連日の如くスロースタートで甘い時間を始める。  沢山キスをされて、擽ったいと言うと少し強く吸いつく。まだ、噛むような強い刺激は与えてくれない。  時々見つめ合い、はにかむ朔に僕からも唇を寄せる。いつもならトランプやゲームをして待ち時間を潰す皆も、今日は静かに見守っている。だから、キスの音や吐息が部屋に響いて恥ずかしい。  朔以外、まだ誰も僕に触れていないのに、いっぺんにされているような感覚だ。まるで、一緒に甘い時間を始めているみたいでドキドキが加速する。 「は··ぁ、ん····待っ··んぅ」 「待たね(あはえ)ぇ」  キスをしながら喋るほど、離れたくない様子の朔。僕も同じだけど、少しだけ待ってほしい。  いつになくまじまじと見られていて、凄く恥ずかしいのだ。他の事をして待っていてもらいたいと、皆に頼みたいのだけれど。  どうやら、そんな暇はくれないらしい。待つどころか、徐々に激しさを増す口付け。いや、これは口吸いだ。  古い本で読んだんだけど、昔の人はキスの事を『口吸い』って言ってた理由が今なら分かる。なんなら『口食べ』って言っても通りそうだ。文字通り、舌を食べる勢いで絡め取ろうとしているんだもの。  皆からのキスは大抵、僕を口から食べてしまうような激しくていやらしい。そのうち本当に、僕の舌は誰かに引っこ抜かれちゃいそうだ。  なんて、おバカな事を考えている隙に押し倒されていて、朔の手は僕の太腿を撫で回していた。腰や胸、脇に首筋と余す所なく、全身を撫でる朔。触り方がえっちなんだよ。  朔に触れられる度、期待で身体が熱くなってゆく。何処を触られても身体が跳ねてしまい、僕の()()()()()はだらしなく涎を垂らし始めていた。 「朔··ね、待って。触られてるだけなのに、んっ、イッちゃいそ··ひぁっ」 「早いな。ずっと我慢してた所為か? 今日は長くなるんだ、こんなのでイッてたらもたねぇぞ」  そんな事は百も承知だ。できることなら、ここ数日のように余裕を持って臨みたい。  だけど、僕の身体は既に、洗浄のおかげで出来上がっているのだ。キスひとつ、いや、皆の雄っぽい所を見るだけでイッてしまいそうなほどギリギリ。そんな僕にこんなえっちな触れ方をするなんて、朔も大概意地が悪い。 「ンなら結人のちんこ縛っとく?」  気を利かせた啓吾が、また厄介な事を言い出す。 「バカ啓吾。そんな事してもお尻でイッちゃうんだから意味ないでしょ」  りっくんはナイスだけど、理由がちょっといただけない。仰る通りすぎて反論もできない。 「あそっか。んじゃやっぱ俺らが加減するしかねぇのな」 「加減つってもよぅ、寸止めでもなく気持ち良ぃだけで留めんのムズくねぇか?」 「そうだよね····あっ、真尋っぽくすればいいんじゃない?」  まったく、何を言ってるんだか。いい事思いついたって顔をしているけど、それはきっと自滅する発想じゃないのかな。 「あぁ、なんとなく分かるわ。結人に“気持ち良い”だけで終わらせる感じな。でもさ、それ結局イクじゃん」 「あそっか····。まぁ真尋っぽくってのがそもそも嫌だけどね。··えー、イかさないのは難しいね」  自分で真尋の名を挙げたクセに。今頃、真尋がくしゃみでもしてるんじゃないかな。 「感度バカになってっからイかせねぇとか無理だろ。イかせんのと寸止めはアホみてぇに簡単なのにな」 「場野、そんな言い方すると結人が拗ね··怒るぞ」 「拗ねないし怒らないよ。事実だもんね」  と、僕は唇を尖らせて言った。そこへキスをする朔。別に、キスを待っていたわけではない。  けれど、キスひとつで機嫌をなおす僕は、やはり単純なのだろう。外野のくだらない談義は一旦無視して、朔との甘い時間に戻る。 「朔、僕も朔に気持ちぃ事シたい」 「ん、いいぞ」  僕からシて悦んでもらえる事なんて、キスとしゃぶる以外に思いつかない。乳首は擽ったいだけみたいだし、他のどこへ触れても僕みたいに感じたりはしない。 「朔の··おちんちんね、もうしゃぶってもいい?」 「····いいのか?」  動揺した様子で、朔は皆に意見を求める。 「いいんじゃね? けど、まだ喉奥使わないようにね。結人も。気持ちぃからってヤりすぎたらいつも通りだかんな。ゆーっくり始めてこうぜ」  啓吾の注意を念頭に置き、僕は遠慮がちに朔のおちんちんを咥えた。口の中でカリ首に舌先を這わせる。朔の腰がビクンと引けて、感じている事を示す。  僕は安心して、手で扱きながら亀頭を舌全体で舐め回す。朔は僕の頭を持つが、押し込まないよう我慢しているようだ。  僕だって、早く喉奥に欲しい。けど、まだダメなんだよね。必死に堪えて、次に僕はおちんちんの根元から舐め上げる。裏筋を舌の先で強めに舐めると気持ち良いらしい。 「ん····結人待て、イッちまう」 「んぇ? 啓吾、もうイかせていいの?」 「えー、どうなんだろ。まだ早いんじゃね? なんだっけな··、あそうそう。気持ち抑えながらゆっくり昂っていくのを感じて····だって。まだ開始30分も経ってねぇよ?」 「せめて1時間くらいイチャついてたいよね。って事で、ちょっと変わろっか」  そう言って、りっくんが僕をソファへ呼んだ。何をするのだろう。  名残惜しそうな朔を置いて、りっくんの元へ。ソファの前へ座らされ、ニマニマしながら僕を見るりっくんを見上げる。  間違っていたら恥ずかしいけれど、多分そういう事なのだろうと思いアレを言ってみる。 「しゃ··しゃぶっていい?」  りっくんの好きなフレーズだ。 「ダメ」  あぁ、間違えたらしい。恥ずかしさで涙が込み上げる。 「····っ、ご、ごめんね。変なこと言って──」  俯く僕の顎をクイッと持ち上げ、りっくんは僕が悦ぶ強めの口調で問う。 「違うでしょ。しゃぶるの、なんて言うんだった?」 「······はっ! ふ、ふぇ、フェラ··シていいですか?」 「あっはは。なんで敬語になんの? んっふ····いいですよ。どーぞ?」  きっと、えっちにお強請りさせたかったのだろう。と、後になって気づく。それなのに、僕ときたらお子ちゃま丸出しな反応をしてしまって、見事に期待を裏切ったことだろう。  どう頑張ったって、僕にはえっちな雰囲気なんて無理なんだ。皆みたいに、スンてしてたらできるのかな。  足をおっぴろげに、背もたれに身を預けるりっくん。ソファがギシッと軋む。僕を待つりっくんのえっちな目を見れず、僕は顔を伏せたままおちんちんに手を伸ばす。 「し、失礼(しちゅれい)します····」 (う、わぁ····噛んじゃった。何も上手くできないや。あれもこれも全部恥ずかしいよぉ····)  真っ赤になった僕を、りっくんは慰めるように撫でる。優しい手に甘え、先っちょをパクッと咥えてりっくん見上げる。 「ゆいぴ、愛してるよ」  甘い囁きに、耳が孕んでしまいそうだ。僕は、そのたった一言で軽イキしてしまい、舌を亀頭に押しつけたまま固まってしまった。 「あれ、どうしたの? もしかしてイッてる?」 「ふ··ちょっと(ひょっほ)····」 「かーわい♡ ねぇ啓吾、ちょっと来て」  りっくんは啓吾を呼びつけると、一旦おちんちん抜いて立ち上がった。そして、()()()()えっちな事をシてほしいと言って、啓吾と向かい合う。 「はい、じゃぁ両方握って」  そう言って、眼前に差し出された2本のガン勃ちおちんちん。僕は、言われるがままそれらを握り、交互に甘くしゃぶる。これが、視覚的にえっちなのだろうか。 「んはっ♡ これやっぱエロいよな。俺もこれ好き」  啓吾も好きなのか。今までも何度かシたことはあるけれど、そんなに好きだなんて知らなかった。  まただ。知らない事を知る度に、僕の胸が熱くなる。皆との距離がもっと近づくようで、何故だかそれを誇らしく感じるのだ。  そうこうしていると、2人の間に八千代が立った。それはそれは大きくそそり立つおちんちんを携えて、僕の前髪を軽く握って見下ろしてくる。  余程昂っているのか、冷たくも感じられるその視線に、腰からゾクゾクとおかしな感覚が這い上がった。  これをゴックンしたら····なんて妄想が脳裏を過ぎる。でも、まだダメなんだっけ。  淡い期待を胸に、僕はおちんちんへのキスから始める。勿論、2人のおちんちんを扱きながら。

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