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第290話 トラウマ
な、なんで九条さんあの人と…。
状況がよく飲み込めない。
あの女子高生と九条は顔見知りだったとかの可能性は…あれば既に声を掛けているはずだ。
あれだけ女子高生は、こちらを見ていたのだから。
どういう事だろうか?
九条に話しかける彼女は頬を赤らめていて、隣の九条はカップのコーヒーを飲みながら聞いているのだろう。
いつもと変わらない表情の九条がいる。
なんで、その人と一緒に座ってるんですか?
空いているベンチら他に幾らでもある。
一緒にお土産見たいから来てくださいって言ったのに…。
確かに慌てなくてもいいと言ったのは自分だ。
だからといって、こんな場面を見たかったわけじゃない。
よりにもよって、苦手な女子と並んで座っている姿なんて…。
本当は今頃は一緒に眞山達へのお土産を選んでいたはずなのに。
僕と一緒に来たのに…九条さんは僕と…。
「……っ」
視界がボヤけてきた。
まさか自分でも泣くとは思わず、慌てて目元を拭った。
こんな店の中で高校生が突然泣けば、周囲も困惑するだろう。
グッと堪えて涙は出なかったが、弱い心は揺れ動いたままだ。
僕と来たけど、あんなに可愛い女の子が居たら話しだってしたくなるよね…。
九条さんカッコイイから、女の子だって夢中になるに決まってる。
でも、彼氏が居るんじゃないの?!
なんで九条さんに話しかけてるの!?
思わず九条の元へ行きたい衝動に駆られたが、トラウマとは意志に反して体を動かそうとはしてくれなかった。
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