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第417話 6

「先生…」 直人がその背中に呟いたが、聞こえてるのか聞こえてないのか、そのまま廊下の角を曲がって行ってしまった。 「……」 直人が慶太郎を見た。 「……」 慶太郎も直人を見た。 そして、祐羽はふたりを見た。 「手、繋ぐ?」 「!!」 「うん!!繋いで帰ろ!」 3人は祐羽を真ん中にして手を繋いで教室へと戻った。 ルンルン無駄に握った手を振りながら。 教室へと戻ると、そんな3人を見たクラスメイトが「いいなぁ~祐羽くん」と羨ましそうに声をあげるのだった。 こうして、直人と慶太郎というクラスでも人気者のふたりのサポートのお陰で、祐羽は5歳生活を楽しく過ごすことが出来た。 卒園式の時の別れの悲しみは、今でも思い出と共に。 ・・・・・ 待ちに待った昼休憩。 椅子に座って顔を見合せた。 「懐かしいな」 直人があの日を思い出して言った。 「だな」 慶太郎も頷いた。 「そうだね」 祐羽が嬉しそうに、はにかんだ。 可愛い…。と直人と慶太郎は同じタイミングで思いながら祐羽の顔を見た。

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