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ノートを持って、いざ出発。 そう思って教室を出ると、横から手が伸びてきてノートを半分以上取り上げてしまう。 急なことに驚いて見上げると、そこにはクラスメイトの中川が居た。 「月ヶ瀬、持っていくの手伝うよ」 「ええっ、悪いよ。頼まれたの僕だし」 「いいよ、いいよ。俺も丁度そっちへ用事あるし」 その言葉に甘えさせて貰う。 中川は大人っぽくてカッコいいし、優しい性格をしている。 中川が女子から人気の理由に、いつもこうして助けて貰う度に、祐羽は納得していた。 楽しくお喋りしながら歩くと、職員室まではあっという間だった。 「あ、ここでいいよ。ありがとう中川くん」 「じゃぁね」 そう言って笑顔で祐羽の頭をポンポンして、彼は去っていった。 元来た方向へ。 「あれ?用事あったんじゃなかったのかな…?」 首を傾げつつ職員室へ入室する。 「し、失礼します…」 ちょっと緊張してコソコソする祐羽だったが、直ぐに教師に声を掛けられる。 「お~月ヶ瀬。用事か?」 「あの、ノート…」 「お~おつかいか!偉いな!!」 おつかいって、子どもじゃないんですけど。 内心ムスッと怒りながら教師を見たが、ワハハッと笑っている。 …もういい。 そして進むと直ぐに捕まる。 「月ヶ瀬、どうした?俺に会いに来たのか?数学好きになったか?!」 嬉しそうに数学教師が言うが、祐羽は数学が大嫌いだ。 知っていて言うのだから、この教師は酷い。

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