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小一時間後、祐羽はまた車に乗って遅めの昼食を取りに出た。
スイートルームでちょっとうたた寝して体力回復を図った後、柳の運転する車で着いた場所は、いかにも高級な店と分かる場所だった。
モダンな洋食店で、一見ではなかなか入りづらい。
店先には【貸し切り】とある。
九条に続いて入ると、店内はテーブル席が幾つもあり、セットされたカトラリーがほんのり照らされる明かりに反射して異空間を放っていた。
うわぁ…高そうなお店だぁ…。
そんな祐羽はつい足を止めてぼんやり見てしまったが、後ろから中瀬にツンツンされ、歩き出した九条に慌ててくっついた。
どうやら個室へ案内されるらしい。
普段こんな高級そうな店に縁の無い祐羽だが、九条のお陰で時々こうして分不相応な経験をさせて貰い、感謝の気持ちしか湧かないのだった。
せめて粗相しない様に、九条に恥を掻かせない、そして落ち着いて過ごせる様にと思って行動するのが自分の使命だと考えていた。
けれど、どうしても自分の感情が出てしまい物珍しさにキョロキョロしたり、ペラペラ喋ったりと後々反省しきりだった。
ここも高級なお店だから大人しくしておこう。
でも個室なら少しはいつもみたいに九条さんと話しても問題ないよね?
大きな声で話さないなら、いいんだ。
ウンウンとひとり頷きながら、実際頷くので他の人間からは表情と態度で感情丸分かりではある。
そんな祐羽は決意もそこそこに、この後直ぐあからさまに態度に出てしまった。
個室の前には見知らぬ強面な男達が数名立っている。
誰?店員さんじゃない…。
この雰囲気には覚えがある。
普段、九条の周りを取り巻いている旭狼会の組員に似ているのだ。
九条の姿を確認すると、男達は頭を下げた。
先に九条が個室へと入りながら声を掛けた。
「待たせたか?」
すると中から男の声が返ってきた。
「いいや。今さっき来たところじゃけぇ気にすんな」
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