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「おーいっ、聞こえとるか~?いい加減、顔上げてこっち見ぃや」 「!」 いつまでもこのまま下を向いている訳にはいかない。 祐羽はドキドキする心臓をそのままにゆっくりと顔を上げた。 それから息を少し吸い込んで気持ちを整えると相手の男へと視線を向けた。 「!!!」 えっ!?この人がヤクザの親分?! 「そんなつもりは無かったが、驚かしたみたいで悪かったな」 目の前に座ってこちらを見ていた男は、そう言いながらフッと笑った。 「か、」 「か?何だ?」 ひと言だけ発して黙ってしまった祐羽に、相手の男が顰め面した。 カッコいい…!! 九条と少しタイプは違うが、整った顔立ちの男だった。 「なんか面白いヤツじゃな~」 感情が出やすいのか、二重の目は興味津々といった様子で、口元をニンマリさせて祐羽を観察している。 予想外の若さとカッコよさに祐羽は別の意味で驚き、緊張してしまう。 九条さんの親戚だけにイケメン具合まで似るのかも…。 「まぁいつまでも立っとらんで、はよ座れ」 そう促される前には九条が一足先に眞山の引いた椅子へと腰を下ろしはじめており、祐羽も中瀬に椅子を引かれて漸く腰を下ろした。 「祐羽。こっちは紫藤(しどう)組・本部長補佐で組長の息子の紫藤隆成(りゅうせい)だ。」 九条に紹介されて隆成が鷹揚に頷いた。 「おう。一臣の親戚でもある、紫藤だ。よろしくな」 紫藤はフッと笑った。

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