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玄愛Ⅱ《雅鷹side》6

その人物を見て愁ちゃんも動きを止めた。 そして開いたドアの方を見てアヤちゃんが怒鳴る。 「…おっっせぇよ炯!!」 あいざわくん? 懇親会じゃなかったっけ? あーもう幻覚見るぐらい頭クラクラしてんのかな? 「…」 哀沢くんは、愁ちゃんに抱きしめられて息を切らしてはだけている俺をドア付近から無言で見つめていた。 「哀沢…ちょうどよかった。山田に魅力があるか俺と綾で確かめようかなと思ったんだけど…続けていいか?」 そう挑発的な発言をして、愁ちゃんが俺の耳を舐めた。 「ひやっ…ん…」 「愁弥…?」 普段の愁ちゃんからは想像もつかない言動に哀沢くんは驚いていた。 そしてアヤちゃんが俺たちに近づいて、哀沢くんに向かって言う。 「ごめんね炯くん。うちの愁ちゃんお酒飲むといつもの優しい愁弥とは逆に攻めっぽくなんのよ。俺も楽しくなってきちゃってさぁ」 アヤちゃんは、愁ちゃんから俺を奪って後ろから抱きしめて続けた。 「お前の仮彼氏の雅鷹くんは、キスしかされないし全く抱いてもらえないから自分に魅力が無いと不安がってるぜ?」 そして後ろから両乳首を摘まんで弄り始める。 「あっ、ンンッ!だめっ…乳首摘ままない、でぇっ…」 「雅鷹のこの反応…食っていい?」 「や、…だぁっ」 すると哀沢くんはこちらに駆け寄り、アヤちゃんから俺を引き離した。 「退け」 そして俺を抱き寄せて言う。 「こいつは俺のだ」 哀沢くんの鼓動が俺の耳から伝わる。 あぁ、心地良い。 「へぇ。仮契約の仮彼氏なのに、本当の彼氏みたいなこと言うんだ」 「うるせぇ」 本当に哀沢くんだ。 哀沢くんがいるんだ。 俺は上目遣いで哀沢くんを見つめて言った。 「哀沢くんの匂い…この匂いだけで興奮する。俺なんかもう体おかしくて変なんだ…哀沢くん…お願い…イカせて…」 息を切らして顔を赤めて涙を溜めて絶頂を懇願する俺を見て、哀沢くんは眉間にシワを寄せてアヤちゃんを睨んだ。 「…何飲ませた?」 「んー、叔父特性の媚薬酒なんだけど雅鷹との相性抜群らしく少し飲んだだけでこれだぜ。もう少し遅かったら挿れちまうぐらい可愛くてやばかったわ」 「お前まじで節操なしだな」 「炯くん目がこわーい。俺は愁ちゃん一筋だよん。どっちかというと雅鷹のこと攻めてたの愁弥だし」 そう言ってアヤちゃんは愁ちゃんを抱きしめた。 そして愁ちゃんの服を脱がし始めながら言う。 「とっとと告白して抱いてやれば雅鷹も炯も満足でWin-Winなはずなのに、焦らしてるお前が悪いだろ。実は奥手なの?意外すぎ」 「てめぇとは違うんだよ」 舌打ちをしてアヤちゃんを更に睨む哀沢くん。 「そっちの扉あけると布団が敷いてあるから、ご自由にどーぞ。雅鷹もう限界だしな。てか俺も限界。こっちはこっちでするからお構い無く」 アヤちゃんがそう言うと、哀沢くんは俺を抱き上げて立ち上がり隣の部屋へ向かった。 「わぁ、お姫様だっこ?嬉しいー。本当の恋人みたい」 ケラケラと笑う俺を見る目は少し呆れているようだった。 そして敷いてある布団の上に俺を置いた。 「お布団気持ちいー」 「山田…少し水飲め」 哀沢くんは置いてあるミネラルウォーターのペットボトルの蓋を開けて俺に渡してきた。 「わ、なんか…手震えちゃう。溢れてる…?酔ってるのかなぁ。お酒強いはずなんだけど」 それを飲もうとするが、手が震えて水が飲めずたくさん溢れてしまった。 それを見た哀沢くんは自分の口にミネラルウォーターを含んで、それを口移しで俺に飲ませた。 飲み終わっても唇を放さず、哀沢くんの舌が俺の舌に絡まる。 「ん…っ、は…ぁ…」 やっぱり哀沢くんとのキスが最高。 俺はキスが終わると、座っている哀沢くんに膝立ちで股がり涙を溜めて言った。 「どうしたら哀沢くんに好きになってもらえるのかな?俺、三科雅彦と違って性格曲がってるし、セクシーじゃないし、子供っぽいし、いいとこがあるとしたら金持ちってだけだし」 こんなこと言ったら面倒なやつだなって思われそう。 分かってるのに今日はお酒の力もあってそんなこと気にしないで言える。 「哀沢くんちで抱かれた時、何かしちゃったかな?相性よくなかったのかな?魅力無いのかなとか考えて…」 俺の目からはポロポロと涙が落ちる。 哀沢くんはそんな俺を黙って見つめる。 「仮契約だからいつか契約破棄されちゃうのかな…俺どうしたら好きになってもらえるのかな?やっぱり俺じゃダメなのかな…」 そんな俺の思いを聞いた哀沢くんが、俺の涙を拭って深くため息をついた。 「こんなことになるなんてな…」 呆れちゃったのかな…? どうせ契約解除になるかもしれないなら、俺の気持ち伝えとかないと。 「俺ずっと哀沢くんとしたかったの。キスだけじゃ物足りなかった。哀沢くんのこと好きでいられるだけで充分なはずなのに…それだけでいいはずなのに求め…っ」 俺が話している途中で、哀沢くんはまたキスをした。 あぁ、勘違いしそうになる。 哀沢くんのこと欲しくて欲しくてたまらなくなる。 そしてキスを止めて俺を見つめて哀沢くんが言う。 「山田…俺は日に日にお前が大切だなって気付いた。だからちゃんと告白してから抱こうと思って大事にしてたんだ」 大切…? 大切だと思ったことは1度も無いんじゃなかったの? 俺はその言葉を聞いて、酔いが覚めそうになるぐらい驚いた。 「ただ、いつ言おうか考えてたらこんなことになった。こんな状況で言うべきじゃねぇんだけどこの際もう仕方ねぇか」 哀沢くんは一瞬顔をそらして、深く深呼吸をしてから俺の顔を再び見つめた。 「俺と正式に付き合って欲しい」 意外すぎる言葉に驚いて、何の返事も出来ないまま沈黙が続いた。 脳が理解するまでに時間がかかる。 「本…当?」 ようやく出てきた言葉は4文字だけだった。 「本当だ」 嬉しい…嬉しすぎる。 もしかしたらこれは夢? だって頭がクラクラするもん。 「俺いま頭すごくクラクラしてて、もしかしたら明日記憶無くすかも…明日また同じこと言ってくれる?」 俺のその発言を聞いて、哀沢くんが俺を押し倒した。   「言わねぇよ」 そして哀沢くんは眼鏡を外して、真剣な目で俺を見つめて言う。 「いいか?体中の神経を脳に集中させて記憶しとけ。今からお前のことめちゃくちゃに抱く。俺が言ったことも抱いたことも記憶を無くすことは許さねぇ。俺が好きならそれぐらいできるよな?こんなのに飲まれんじゃねぇ」 嘘みたい。 やっと哀沢くんに抱いてもらえるんだ。 俺の神経達、ここが正念場だからね!と意識を集中させた。 「わかった。絶対忘れない」 俺がそう言うと、哀沢くんは優しい目をして一瞬だけ微笑んだ。

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