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玄愛Ⅲー文化祭編ー《雅鷹side》4

「雅鷹さん。最初はAステージです。あと2分後なので急いでください」 「あ、うん」 結局哀沢くんに謝ってないや。 見たかったな哀沢くんのドラキュラ。 絶対かっこいいじゃん。血を吸われたい。 「優勝は1年2組の中村さんです!おめでとうございまーす」 「5ポイント加算です」 「では午後のプログラムで会いましょう」 「お疲れ様でしたー」 総合司会…死ぬ。 まじで分単位スケジュール。 「すみません、ここからの写真撮影は昼食後にお願い致します」 「ごめんねー。後で撮ろうねー」 俺とルイちゃんは行く先々で写真を求められる。 なぜならカップルに見えるから。 全学年の女子がキャーキャー言う。 俺たちのテーマはギャルカップル。 俺がセーラー服でピンクの髪の毛だから、メイク担当の女子がテンションあがっちゃって「じゃあルイくんはギャル男にしよう」というコンセプトになってしまった。 普段は敬語でド真面目キャラなのに、今日は髪の毛もセットして金メッシュ入れてて制服も全開だし、普段のルイちゃんからは想像も出来ないくらいイケメンに仕上がってる。 …君がいつも通りの格好ならもっと写真撮影が減って休めたのでは?ギャップ萌えに殺意。 哀沢くん普通発言事件のことといい、ルイちゃんは俺に苦労させたいのか? 落ち着いたら文句言おう。 「お昼も10分しかないなんて死ぬー」 「とりあえず水分補給して口に何か入れましょう」 「そだね。本当はバスケ部のたこ焼き食べたかったのに…10分じゃ無理」 バスケ部の出し物楽しみにしてたのに。 哀沢くんが焼いたたこ焼き食べたかった。 「雅鷹!」 そう思っていると、誰かに声をかけられた。 「アヤちゃん」 オオカミ男の格好をしているアヤちゃんだった。 そういやうちのクラスはハロウィンコスプレだったなぁ。 オオカミ男…まさしくアヤちゃんっぽい。 彼には獣がお似合い。 「いま昼休憩?」 「そうだよ」 「お前、炯と約束してたのか?」 「約束?何の?」 哀沢くんと話してもないし、むしろ喧嘩してる状態で約束なんかするわけない。 「俺も知らねぇけど。本人に聞いてこいよ。保健室で仮眠してるから。最近会ってないだろ?」 「あ…会いたいけど…」 「けど何だよ?」   俺だって、哀沢くんに会って謝りたいよ。 高校生最後の文化祭が、こんな状態だなんて最悪だもん。 「総合司会だし…ルイちゃん1人じゃ無理だし…あと7分しか時間ないもん」 哀沢くんに謝りたい。 こんなの嫌だ。 ちゃんと仲直りしていい思い出にしたい。   「…プログラム貸せよ」 「え?」 「俺が代わりに総合司会やってやるから、炯のとこ行ってこい」 まさかの発言に驚いた。 「でも…」 でもスケジュールはハードで分刻みだし、打ち合わせも無しでぶっつけ本番で出来るもんじゃないし… 「去年やってるから大丈夫だ。なめんな。祭りってのは楽しむもんだろ?神威家の家訓だからな。いいから行ってこい」 「神威さんと一緒ならなんとかなります。雅鷹さん、行ってきてください」 優しすぎる二人。 でも、ここは甘えさせてもらうしかない。 「ルイちゃん…アヤちゃん。ありがとう!二人とも!」 哀沢くんと仲直りしなきゃ! 俺は急いで保健室に向かった。 「哀沢くん…」 保健室の名簿を見ると、利用してるのは哀沢くんだけだった。 カーテンが閉じてあるベッドに向かうと、ドラキュラの格好をした哀沢くんが寝ていた。 「哀沢くん寝てる?寝てるよね」 眼鏡を外して、すやすやと寝息を立てている。 「…かっこいい」 やっぱり哀沢くん…かっこよすぎる。 「いくら哀沢くんがかっこいいからって、俺だって可愛いんだからね」   俺は哀沢くんが寝てるのをいいことに、言いたいことを言った。 「みんな可愛いって言ってくれたんだから、そんなに余裕ぶってていいの?」 本当は哀沢くんにだけ可愛いって言ってもらえればよかったんだ。 「写真もめちゃ撮られたし、体触られたし、知らない人に誘われたよ」 そんな場面見られて、俺の山田に手を出すなとか嫉妬して欲しかった。 「いつか他の人のものになっちゃうかもしれないよ?そしたら…」 ―…哀沢くん、本当に俺のこと好き? 「そしたら…」 「そしたら?」 寝てるはずの哀沢くんが目を開けて俺に問いかけた。 「あ、いざわくんっ…!起きたの!?いつから聞いてたっ?」 「―…かっこいいあたりから」 一番恥ずかしいところから起きていらっしゃった模様っ。 哀沢くんは起き上がって俺に問いかける。 「司会は?」 「アヤちゃんが変わってくれた」 「へぇ」 聞かないと―… 何の約束をしたのか。 「アヤちゃんが言ってたけど、約束って…なに?」 「…やっぱり忘れてたのか」 哀沢くんはため息をついて呆れた顔をした。 「い、いつ?何の約束した!?」 「去年の文化祭の時だな。『来年も絶対文化祭一緒に歩こうね、絶対だよ、約束』って言ってただろ」 あー! 確かにそんなこと言ってた。 「い…言ってた!覚えてたの?」 「一応」 「ご…ごめん」 「なのにお前は文化祭実行委員になっちまうしな。忙しいの知ってただろ。実行委員じゃなくても準備大変なのによ」 俺のバカ!俺のバカ! 俺最低だ。 『哀沢くんのバカ』 『誰かに抱かれても知らない』 哀沢くんに対して言った数々の暴言を思い出して自己嫌悪。 「本当にごめん。ごめんね。俺ひとりでバカみたいに怒って。俺本当に性格悪い。嫌になる。最後の文化祭だから盛り上げ…」 俺が自分の言動を謝罪している途中で、哀沢くんは俺を引き寄せてキスをしてきた。 「ん…は、ぁ…」 数秒ほどの激しいキスを終えて、哀沢くんは俺を見つめて微笑んで言う。 「今ので許してやる」 あぁ、もう。 本当に大好き。 「つーか山田も準備大変だったろ?俺も昨日まで打ち合わせだし、強豪と練習試合間近で今日も朝練で15km走り込みだったしマジで眠い」 そう言うと、哀沢くんは再びベッドに横になった。 「だからまだ寝…」 「したい!!」 俺はベッドに上り哀沢くんに馬乗りになって、自分の欲求を満たしたくてたまらなくなった。 「哀沢くんと、エッチしたい!!」 そう言ってキスをした。 唇を動かし、舌を絡ませ、これ以上無いぐらい口と口を密着させて息継ぎも出来ないほどの。 途中で哀沢くんがキスを中断して問いかける。 「言うからには俺を満足させられるんだろうな?」 俺は哀沢くんを見つめて、返事の代わりに再びキスを続けた。

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