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玄愛Ⅲー文化祭編ー《炯side》5
俺は焦る山田に逆に興奮してキスを続け、むしろゆっくり腰を動かし突き上げて出し入れをし始めた。
「―…っ!」
そんな俺の行動に余計に焦る山田が可愛い。
逃げようとするので両腕で強く山田を抱き締めながら腰を動かした。
カーテンに人影が近付いてきた
瞬間、
「『あー、テストテスト。はーい、どうも。3年の神威綾でっす。いま生徒会の足利槞唯と臨時で総合司会を担当してまーす』」
総合司会をしている綾の声がスピーカーを通して放送された。
「『機材のトラブルがあって、直るまで15分はかかるみたいなんで、Dステージ中庭で今から特別に写真撮影しちゃいまっす』」
「え…神威先輩?総合司会は雅鷹先輩がやってたけど代わったのかな?」
その放送に女子たちの足が止まった。
「『男子も女子も先生もお客さんもみんな来てね。てか、会いたいな。ちなみに今日のルイはギャル男。俺はオオカミ男。どっちの男が好みかな?もちろん俺だよな?ルイからも一言』」
「『お待ちしております』」
「『見た目ギャル男なのに硬っ!1組30秒だから30組限定です。指定のポージングもOK♪中庭までいっそげー』」
そう言って放送が終わった。
「神威先輩の写真撮りたい!しかも今日足利先輩めっちゃイケメンだったし、二人で顎クイとかして欲しい!」
「それ最高!行こ行こ」
綾の放送を聞いて、女子たちは出ていった。
この空間に二人しかいなくなったのなら、もう遠慮する必要ねぇか。
俺は腰の動きを速くした。
「哀沢く…ん、あっ…ん、危なかった、…あっ、バレるとこ、…だったよ…?あっ…あっ」
「俺は別に見られても良かったからな」
別にもう、山田以外愛さないんだ。
なら誰に見られても知られても構わない。
そして俺は体位を正常位に変えて腰を揺らした。
「実はお前もさっきの興奮したんだろ?もう硬くなってる」
「言わなっ、あっ…いでっ!あっ、ンン、あっ、あっ」
俺はそう言って山田の足を開き、山田の両手を膝へと持っていき自分で足を持てと合図した。
そして山田を見下ろして、ゆっくり腰を動かしながら言う。
「こんな姿で、保健室で、自分でこんなに足を開いて。自分がイヤらしいの分かるか?」
「あっ、…んっ…!こんな姿、見せられるの…あっ、哀沢くんだけだよ?」
「……」
「あっ、俺は哀沢くんが、…いるから…あっ!ンンッ!み、…満たされてる。心も体もっ、全部っ、あっあっ」
「…マジで孕ませたくなるな」
「欲しい、もっと速く動いて?俺の中に…哀沢くんの出してっ。受精、したいっ」
俺も余裕がないな。
そんな山田の挑発にまんまと乗せられる。
俺は山田の両足を自分の肩に乗せて奥深くまで入るように体位を屈曲位にして高速で腰を動かした。
「あっあっ!アアッ!お、く…深、いいっ!あっ、ンン、あっ、イイ!あっ、気持ち、い…あっ」
数秒ほど高速で突き、そしてたまにゆっくりな動きをしてこれ以上入りきらない場所まで俺自身を進め山田の壁を拡げた。
「あっ、アアッ!哀沢く…ん!あっ!気持ち、い…よぉっ!あっ、ンン!あっあっ」
「ここだろ?」
「そこっ、あっあっ、ン…、そ、こぉっ!は、…あっ!」
山田は自分のモノを右手で握り上下に動かし始める。
それを見て俺は更に興奮した。
「あああっ!ん…は、あっ、あっ、哀沢く、ん…イク…イクッ!あっ、アァッ、…イクッ!一緒に、イこ?あっ」
山田がそう言うと、俺はキスをしながら腰の動きをこれ以上ないくらいに速くした。
その動きに合わせて山田の右手も速くなる。
「あっあっ!ん…いく、イクッ!…あっ、ん…イクぅッ!イクッ!」
「―…っ!」
山田が絶頂を迎える前に俺は山田の中を精液で支配した。
そしてすぐに山田も果てた。
あぁ、やっぱり抱き終わる度に毎回思う。
山田が俺を好きになってくれたことに感謝したい。
だって今は俺の方がお前のこと好きだと言える自信があるから。
俺を好きだと、口に出し常に俺を求めてくれる山田。
それとは逆に、想いを口には出さない俺。
俺は不器用なんだ。
特に恋愛に関しては。
想いを口にするのが怖い。
でも、今日ぐらいは…
「山田……愛してる―」
耳元で囁いたその言葉を聞いて、山田の目から涙が溢れた。
行為後お互い乱れた衣服を直し終え、俺はうしろから山田を抱きしめた。
「哀沢くんさ、俺今まで女装してたけど何とも思わなかったの?」
「別に。山田が女装してるな、程度」
「そうなんだ…今は?」
「好きなやつが女装してるな、程度」
「やっぱり女装してても可愛いって思わないんだー」
何を言い出すのかと思えば。
俺は女装している山田が好きなわけじゃない。
好きになった相手が山田なのに。
「悪いな…俺は思ってても言葉にする必要性を感じてない。だから言葉が乏しいんだ。特に恋愛は難しくて山田が求めてる回答がよく分かんねぇけど…」
俺は後ろからキスをして山田を見つめて言った。
「山田が可愛いのは普通のことで、女装していてもしていなくても俺はどんな山田も可愛いと思ってる。それじゃダメなのか?他に何て言えばいい?」
「哀沢くん…俺、すっごい嬉しすぎて…死にそう」
山田は振り返って、俺をぎゅっと抱きしめて嬉しさを噛み締めていた。
その姿が愛しいと思った。
「喜ぶのは構わねぇけど、死ぬのはナシな」
「大丈夫。哀沢くんより先には死なないよ」
気付くと時計13時30分を回っていた。
「総合司会やってこいよ。ちゃんと責任果たしたいだろ?」
「うん。いいの?」
中途半端なことが嫌いな山田だから、きっとこのまま一緒にいても悔いが残ると思った。
「あぁ。ここで待ってる。文化祭終わったら一緒に帰ろう」
「あ、じゃあ今日俺んち泊まる?明日休みだし」
「そうするか。パフェ食いてぇし。とりあえずそれまで寝てる」
「嬉しー!司会めっちゃ頑張れる!行ってくるね」
そう言って山田はベッドを降りて俺の頬に軽くキスをして保健室のドアへ向かっていった。
俺は右手を3回ほど降って、即効寝た。
次に起きた時は通常の制服姿の山田がいて、21時を回っていた。
「寝すぎ」と笑われ、迎えが来ていたのでそのまま山田の家に直行した。
「パフェ美味しい?」
「もっと甘くてもいいかもな」
「本当に甘いの好きなんだね哀沢くん」
そう言って山田はニコニコしながら俺にキスをした。
「甘くなった?」
「…足りねぇ」
そう言って今度は俺からキスをした。
去年までは自分が恋愛をして、好きなやつと一緒にこうしてるなんて想像もつかなかった。
もっともっと山田を知りたい。
俺だけの山田にしたい。
「三科雅彦も甘いの好きだった?」
「あいつはマスカットで出来てるんじゃないかってぐらいマスカット食ってたな」
「へぇ」
山田さえいれば、それでいい。
言葉にはしないけど、心からそう思っている。
その笑顔をずっと隣で見ていたい―…
「じゃあいつか一緒にアメリカ行ったらさ、マスカット持って彼のお墓に挨拶しに行こうね」
「ははっ。それは喜ぶだろうな」
あんなにも忘れたくて辛かった過去も、山田がいたからこうして思い出として受け入れられるようになった。
お前無しじゃいられないよ、本当に。
俺と山田の恋愛はこれからも続く。
【END】
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