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剥がされた家庭12

 金原は、寒気を押さえるように腕をさする。  一体なにがあったのか。 「で? 授業放棄してまで類沢先生に会いに来た理由はなにかな」  雛谷はガシガシ頭を掻いて、眠そうに云った。  そういうお前はどうなんだ。  舌先まで出掛かった言葉を呑む。 「急用があったんですよ。せ、先生こそ。どうして、ここに?」  雛谷はニイッと微笑み、ポケットから鍵の束を出した。  そして、反省室の通路を見回す。 「ここね、管理してるの」 「え」  反省室を管理。  確かに、必要なような。  よく理解できないような。  金原はアカとアイコンタクトをする。 「ま、滅多に仕事はないんだけどね。今日は一人預かってるから、今君たちが降りてくの見て追いかけて来たわけ」 「……見られちゃまずいもんでもあるのかよ」  低く呟いた金原に雛谷は爽快な笑い声を浴びせる。  チャリチャリと鍵が鳴る。 「面白いねぇ、金原くん。男子高生の妄想は広がりようが興味深い」  ざわり。  なんか、気味悪い鳥肌立った。 「預かってる生徒の名前は?」  アカは冷静だ。  しっかり雛谷の真正面に行き、圧倒するように目を合わせる。 「へぇ? 類沢先生を探しに来たんじゃなくて、その子を探しに来たのかな」 「名前はなんですか」 「仁野有紗だよっ! ヒナヤン早くこっから出して!」 「はい?」 「そう、まさにそれ。そんな感じに驚いた」  俺は状況を整理する。  有紗が朝いなくて、類沢の元に行ったのかと思えば彼は反省室に行っていた。  反省室には類沢がいなくて、雛谷がいて反省室の管理をしてると言った。  一人預かってる生徒がいるらしく、その名前を尋ねたら有紗の叫び声が聞こえたらしい。 「つまり、有紗は……保健室に訪ねてって類沢に反省室連れてかれたか、反省室で告って閉じこめられたかってこと?」 「瑞希意外に酷い方の想像をするな」  だって、それくらいしか思いつかないし。  アカが麦茶に口をつけて、思考をまとめるようにぐるぐる視線を変える。  コップを置くと、言いづらそうに口を開いた。 「みぃずきの予想が半分正解かな」 「マジかよ」

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