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どこまでも04

 類沢はにこりと笑って、美里の向かいに座った。 「瑞希はね、キミの心配ばかりしていたよ」  美里がハンカチを取り出す。 「会いに行かなきゃ、って切羽詰まった顔で言うんだ」  口元を覆い、嗚咽を堪える。 「健康に過ごしていたなら、瑞希も安心する。だから、目が覚めた時に笑顔で会えればそれで十分じゃないかな」  美里は身を屈めて泣いた。  ごめんなさい、と呟きながら。  ひとしきり泣いた後、恥ずかしそうに髪を整えた。 「先生は……優しいですね」 「あはははっ、どこが?」  美里は笑われたことに驚いて、首を傾げた。  驚いたのは類沢の方だった。  優しい。  生まれて初めて言われた。  自分には不釣り合いな響きだ。  美里は子供みたいな口調で言う。 「優しいですよ。優しい人は優しいって言われたら否定するんです」 「じゃあ、キミは優しい?」 「いいえ、全く」  美里はニヤリと笑い、涙を拭いた。 「先生は、毎日来ているんですか」 「今日までね。明日からは学校が始まるから、わからない」 「凄いですね……私こそ、そうすべきだったのに」 「しなかったことは後悔しても仕方ないでしょ。明日からどうするか考えたら?」 「はい……」 「返事。瑞希に聞かせないと」 「っ……はい!」  類沢が微笑みかけると、美里は真っ赤になって手洗いに行ってくると出て行った。 「教師みたいだった?」  瑞希に問いかける。  その口元が、かすかに笑った気がした。

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