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認めたくないこと09

 ガラッ。  開閉音に中の奴らがこちらを振り向いた。  名前も出てこない六人の男。  他のクラスだろう。  それにしても少なくないか。  そんな疑問も面倒で。 「おせーぞ。忍ちゃん」 「今日は旦那は一緒じゃねえのかよ」 「黙ってろ」  ニヤニヤ笑う奴等が鬱陶しかった。  さっさと帰りたい。  四角く並べた机の一つに荷物を置いて腰掛ける。 「会議ってなんの?」 「年末の会報誌の企画だよ。さすがに一回は出さないと教師が煩くて」  その割には企画書もホワイトボードもない。  会議する気あんのか、こいつら。  ため息を吐いて携帯を取り出す。  拓からメールは無かった。 「他のメンバーは?」  インターネットに繋ぎながら尋ねる。 「来ねえよ」  その口調に違和感が走り、目を上げる。  一人が不審な動きをしていた。  扉に鍵を掛けたのだ。  それからカメラを取り出す男。  目を細めてそれらを見つめる。  携帯をポケットに仕舞う。 「なにやってんだ」 「その企画の一環で岸本忍について取り上げようってことになってな」 「いつ決まった。そんな馬鹿みてえな」 「さっきだ」  声色が変わった。  空気も。  ガタリと立ち上がる。  これ。  覚えてる。  小学校の頃、中学生に絡まれた時の。  あの。  神経のざわめき。  警戒。  警告。  関節を鳴らす。  全員がいつの間にか自分を囲んでいた。  気だるく見渡す。 「なんの真似?」 「プリンセス忍のハメ撮りとか結構見たがってる奴いるからさ。協力してくんないかなーって」 「は?」  現実味のない単語に反応が遅れた。  背後にいた一人に口を塞がれる。  そばから近づいた奴には腹に蹴りを食らわせたが、すぐに何かの布で目を覆われた。  見えない視界でもがいても効果がなく、手も縛られる。 「暴れんな。忍ちゃん」 「くそがっ」  床に倒されて初めて悪寒がした。  誰かが上に乗る。  どこかに固定され、腕が全く使えない。  ギチギチと鳴るだけ。  手首が擦れて痺れが走る。  嘘だろ。  ほんの数分で。  なんだ。  この状況。 「あっけなく捕獲~」 「じゃあ、撮影会の始まりだな」 「ダンナのいぬ間に、な」 「最後までバテンなよ」  なんの冗談だ。  これ。  鳥肌が立った。

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